愛知県議会 2022-12-01
令和4年12月定例会(第4号) 本文
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ウィンドウで開きます) 令和4年12月定例会(第4号) 本文 2022-12-07 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ
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発言者一覧 選択 1 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 2 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 3 : ◯四十七番(
山本浩史君) 選択 4 :
◯建設局長(道浦真君) 選択 5 :
◯農業水産局長(
矢野浩二君) 選択 6 :
◯警察本部長(
鎌田徹郎君) 選択 7 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 8 : ◯四十七番(
山本浩史君) 選択 9 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 10 : ◯三十番(ますだ裕二君) 選択 11 :
◯警察本部長(
鎌田徹郎君) 選択 12 :
◯県民文化局長(伊藤正樹君) 選択 13 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 14 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 15 : ◯三十八番(
鈴木まさと君) 選択 16 :
◯福祉局長(橋本礼子君) 選択 17 :
◯農業水産局長(
矢野浩二君) 選択 18 :
◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 19 : ◯三十八番(
鈴木まさと君) 選択 20 : ◯四十一番(山田たかお君) 選択 21 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 22 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 23 : ◯議長(須崎かん君) 選択 24 : ◯三十一番(政木りか君) 選択 25 : ◯経済産業局長(矢野剛史君) 選択 26 :
◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 27 : ◯スポーツ局長(成瀬一浩君) 選択 28 : ◯教育長(飯田靖君) 選択 29 : ◯三十一番(政木りか君) 選択 30 : ◯議長(須崎かん君) 選択 31 : ◯十番(杉江繁樹君) 選択 32 : ◯都市・交通局長(金田学君) 選択 33 : ◯労働局長(日高啓視君) 選択 34 :
◯福祉局長(橋本礼子君) 選択 35 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 36 : ◯議長(須崎かん君) 選択 37 : ◯五十七番(水谷満信君) 選択 38 : ◯教育長(飯田靖君) 選択 39 :
◯福祉局長(橋本礼子君) 選択 40 :
◯農業水産局長(
矢野浩二君) 選択 41 : ◯環境局長(水野達也君) 選択 42 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 43 : ◯四十番(南部文宏君) 選択 44 : ◯議長(須崎かん君) 選択 45 : ◯議長(須崎かん君) 選択 46 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 47 : ◯四十八番(寺西むつみ君) 選択 48 :
◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 49 :
◯県民文化局長(伊藤正樹君) 選択 50 : ◯知事(
大村秀章君) 選択 51 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 52 : ◯四十一番(山田たかお君) 選択 53 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 54 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 55 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 56 : ◯八十六番(中野治美君) 選択 57 : ◯四十番(南部文宏君) 選択 58 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 59 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 60 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 61 : ◯九十二番(高木ひろし君) 選択 62 : ◯四十一番(山田たかお君) 選択 63 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 64 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 65 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 66 : ◯四十番(南部文宏君) 選択 67 : ◯副議長(
佐藤一志君) 選択 68 : ◯副議長(
佐藤一志君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 午前十時開議
◯副議長(
佐藤一志君) 皆さん、おはようございます。
ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 一般質問並びに第百六十号議案令和四年度愛
知県一般会計補正予算から第百九十八号議案
令和四年度愛知県一般会計補正予算まで
2: ◯副議長(
佐藤一志君) 第百六十号議案令和四年度愛知県一般会計補正予算から第百九十八号議案令和四年度愛知県一般会計補正予算までを一括議題といたします。
これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
山本浩史議員。
〔四十七番
山本浩史君登壇〕(拍手)
3: ◯四十七番(
山本浩史君) おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従って今回大きく三項目について質問いたします。
初めに、台風十五号等における災害について質問いたします。
九月二十三日九時、室戸岬の南約三百キロで発生した台風十五号は、発生から温帯低気圧に変わるまで一日と、台風の期間が非常に短かったものの、本州付近に雨雲のもととなる暖かく湿った空気が大量に流れ込んだため、静岡県や愛知県では九月二十三日夕方から九月二十四日明け方にかけて線状降水帯が発生し、記録的な大雨となりました。一連の大雨による災害は、十月二十八日の閣議決定により、地域を限定しない本激として激甚災害指定され、十一月二日に公布、施行されました。
この台風により田原市内でも激しい雨が降り続き、二十三日十七時三十分、警戒レベル三が発令され、市内二十か所に避難所が開設されました。十七時四十八分には、土砂災害及び浸水害の発生するおそれが高まり、市内全域の二万二千四百九十二世帯、六万百六人を対象に、警戒レベル四の避難指示が発令されました。深夜一時五十六分に全ての警報は解除されましたが、被害は、床上浸水六棟、床下浸水二十九棟、農地への冠水による表土、畝、苗等の流出、温室等の被害が見られ、また、山林の土砂崩れにより道路が通行不能になるなど被害が発生いたしました。
また、県立福江高校では、体育館が床上浸水となり、グラウンドも表土が流され使用できなくなりました。福江高校は高校敷地内を河川が横断する珍しい高校ですが、今回、敷地内の河川部分が氾濫したわけではなく、河川の少し上流部が氾濫し、多くの水が田畑を渡り、体育館やグラウンドに押し寄せました。
さらに、太平洋側には大量の流木が漂着し、船舶の航行への影響が発生するとともに、大量の流木の回収処分に苦慮する状況となりました。
日頃から水害防止策に努めていても、今回のような線状降水帯による長時間の大雨においては、想定外の被害が発生することも十分考えられ、より一層の水害防止策の推進をはじめ、より機動的な災害復旧が重要であると感じます。
そこで、数点伺います。
今回も含め、これまでも慢性的な浸水が発生している泉地区には、新堀川と今堀川の二河川があります。
まず、新堀川防潮樋門について、大雨のたびに開口部に草木が大量に堆積するなどし、水の流れを著しく阻害する要因となっていると考えられ、この樋門が水流のボトルネックにならないよう、着実に改修を進める必要があると考えます。この樋門の改修について、現在の進捗と併せ、今後どのように進めていくのか伺います。
また、今堀川については、上流部の市管理河川と接続部分近くで今回床上・床下浸水が発生しています。この部分も常に浸水が懸念されており、早期整備が求められています。今後どのように進めていくのか伺います。
また、今回被害はなかったものの、平成二十一年、台風十八号の際に、高潮に伴う河川の越水氾濫により四十六棟が床上浸水となった汐川についても、現在の高潮対策の進捗と今後どのように改修を進めていくのか併せて伺います。
最後に、流木問題です。愛知、静岡両県の太平洋岸に大量に流木が漂着したことで、漁業や港に深刻な影響を与えました。一部撤去作業も行われていますが、その量は膨大であり、今後計画的、効率的に作業を進める必要があると考えます。この流木問題について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、二項目め、花卉振興について伺います。
現在、多くの産業が急激な円安とともに、原油、資材、原材料、電気料等々の費用が急上昇したことにより、厳しい経営を強いられています。農業もそうした産業の一つですが、中でも特に農業が厳しい理由として、経費の増加を販売価格にほとんど転嫁できないことが大きな要因として挙げられています。燃油、電気、資材、肥料、飼料をはじめとする農業に不可欠な物資の急激な値上がりは、直接収支を悪化させ、経営に大きなダメージを与えていると言えます。
公益社団法人日本農業法人協会が大規模経営である会員への影響やその対策等を明らかにするため、本年五月に実施したコスト高騰緊急アンケートでは、農業資材等のコスト高騰分を販売価格に価格転嫁できないという法人が七一・三%という結果になりました。資金繰りで苦しいと答えた法人は六四・二%、業種別では、花卉が七六・五%と最多で、畜産が七二・二%と続いています。価格転嫁ができない理由として、農業者サイドの価格交渉力が弱いが最多で、次いで消費者サイドの理解が得られない、そして、食品製造・流通業等サイドのバイイングパワーが強いと続いています。
持続可能な農業生産の実現には、適正な価格形成が不可欠であることは言うまでもありません。
農林水産省は、原材料、労務費、エネルギーコストの高騰等による生産コストが上昇する中、食品の価格に適切に転嫁していくことが重要とし、原材料費等のコストの価格転嫁が進むよう、公正取引委員会等と連携して、食品製造業、食品卸売業、食品小売業への緊急調査などの対策を講じており、現在、今後の適正取引の推進に向け、価格転嫁の状況及びガイドラインに関するアンケート調査を実施しています。
一方、仮にこのような取組の成果が現れるとしても、まだ相当な時間がかかるのではないかと思われます。
こうした中、本県では、花の消費拡大を目指して、あいち花マルシェ二〇二二が、十一月十七日から二十日の日曜日まで開催され、無事閉幕いたしました。
あいち花マルシェは、日本一の花の生産を誇る花の王国あいちの花を見て、触れて、購入できるイベントとして毎年開催されてきました。本年は、植物から始まるサスティナブルな暮らしをテーマに、オアシス21、久屋大通庭園フラリエ、NHK名古屋放送センタービルを会場にして、生産者による直接販売をはじめ、フローリストのジャパンカップ東海ブロック代表選考会、フラワーコンテスト、お花の体験教室、様々なステージイベント、さらに、フォトスポットとして、世界で活躍する写真家、ハセガワハセオ氏が手がける花のメリーゴーランドなど、多くの組織、団体、協賛企業の協力により会期を通して充実した内容の花の祭典となり、オアシス21では最終日の閉幕まで多くの方でにぎわいました。
そこで、まず、あいち花マルシェ二〇二二について、事業の成果はどうであったか、また、その成果を今後の愛知の花の消費拡大にどのように生かしていくのか伺います。
また、冒頭述べたとおり、生産コストの上昇により、農業経営は大変厳しく、世界情勢に左右される以上、見通しが立たない状況にあると言えます。
そこで、本県の花卉の振興について、今後どのようにこの難局を乗り越え、アフターコロナの成長につなげていくのか、考えを伺います。
最後に、三項目めとして、交通安全対策の推進について、数点質問します。
初めに、信号灯器のLED化、視覚障害者用付加装置、音響式信号機並びに歩行者等支援情報通信システム、高度化PICSの設置について伺います。
二〇二一年七月、第十一次愛知県交通安全計画が策定、公表されました。本計画は、二〇二一年度から二〇二五年度までの五年間に講じる陸上交通の安全に関する交通安全計画を定め、これに基づき各関係機関等が一体となって諸施策を推進し、交通事故防止を図ることを目的としております。
今回、本計画では、生活道路等における人優先の安全・安心な歩行空間の整備を掲げ、信号のLED化や高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法に言う生活関連経路を構成する道路を中心として、音響により信号表示の状況を知らせる音響式信号機、視覚障害者や高齢者等の安全な交差点の横断を支援する歩行者等支援情報通信システム、高度化PICS等の整備を推進するとしています。さらに、高齢運転者の増加に対応するため、また、疑似点灯防止による視認性の向上に資するため、信号灯器のLED化を推進するとしています。
本年六月には、二〇二二年度の愛知県交通安全実施計画が策定、公表されました。本計画では、交通安全対策基本法に基づいて作成した第十一次愛知県交通安全計画二〇二一年度から二〇二五年度の基本方針に従って、二〇二二年度における県内の陸上交通の安全に関し、国、県、警察、公社等が講ずべき施策を計画的に推進するために作成されたものです。
愛知県交通安全対策会議を構成する各実施機関は、相互に緊密な連携を図りつつ、市町村をはじめ、関係機関、団体の協力の下に、第十一次愛知県交通安全計画に掲げた目標の達成に向けて、この実施計画の着実な推進に努めるとしています。
こちらには、警察本部交通部が実施機関となり、具体的な目標が掲げられています。
生活道路における交通安全対策の推進においては、生活関連経路を構成する道路を中心に、視覚障害者用付加装置をはじめとするバリアフリー対応型信号機を整備するとしており、高齢者、障害者等の安全に資する歩行空間等の整備においては、信号灯器のLED化、視覚障害者用付加装置の整備を図るとされ、歩行者・自転車対策及び生活道路対策の推進においても、信号灯器のLED化、視覚障害者用付加装置をはじめとするバリアフリー対応型信号機の整備、道路標識、標示の高輝度化等の対策を行い、交通弱者に優しい交通環境の整備を推進するとしています。
最後に、歩行者空間のユニバーサルデザイン化では、視覚障害者用付加装置をはじめとするバリアフリー対応型信号機、エスコートゾーン等の整備を推進するとしています。
そこで、まず一点目、信号灯器のLED化について伺います。
既に県議会でも、これまで、その有用性、低消費電力、長寿命、視認性向上による事故防止等が取り上げられ、日本で最初のLED信号機を設置した本県についても、普及促進に努めてきたところです。
警察庁が発表している令和三年度末現在の都道府県別車両用灯器のLED化率によれば、本県のLED化率は七三・九%となっています。中には一〇〇%を達成している東京都をはじめ、九九・八%の福岡県ほか、普及率は九割を超える都道府県は、宮城県、岐阜県、徳島県、長崎県、沖縄県とあり、全国的にも普及が進んでいることが分かります。東京都と福岡県は本県と同様に相当数の信号灯器を有しているため、両県における高いLED化率は特筆すべきものですが、同じく多くの信号灯器を有する大阪府では七八%、神奈川県は六二・一%、千葉県は五三・九%、埼玉県は六六・八%と、本県のLED化率七三・九%という数字は相当進んでいると見るべきであると思います。現に、本県のLED式の車両用灯器の総数においては、東京都に次いで全国二位の数であり、こうした数値からもLED灯器の普及が進んでいることが分かります。
そこで、本県の信号灯器のLED化について、その整備効果と今後の推進方針を伺います。
次に、視覚障害者用付加装置、音響式信号機並びに歩行者等支援情報通信システム、高度化PICSについて伺います。
本件については、令和三年九月定例議会において、我が党のますだ裕二議員が詳しく質問いたしておりますので、その質問を踏まえて質問いたします。
視覚障害者用付加装置、いわゆる音響式信号機は、多くの県民にとってなじみ深いものと思いますが、一方で、高度化PICSとは、主に視覚障害のある方の道路横断を支援するシステムで、無線技術であるブルートゥースを活用し、スマートフォンに対して歩行者用信号情報を送信するとともに、スマートフォンの操作により青信号の延長を可能にする仕組みとなっています。
県内に設置されている多くの音響式信号が、近隣住民への配慮等から、音量を下げる、時間を制限するなどして設置されている状況ですが、そのような中、高度化PICS導入について、令和三年度に東京都及び一部の指定市を有する府県に対して全額国費による予算措置がなされ、本県については二十四基分の配分を受けました。整備地域については、視覚障害者団体から要望をいただき、視覚障害のある方が頻繁に利用される施設などへの主要な交差点を選定しているとのことでした。
一方、課題としては、全国的にも導入事例が少ないことから多くの方々にとってなじみが薄く、また、高度化PICSを利用するためにはスマートフォン等の携帯端末を使用することが前提であり、視覚障害のある方の中にはこうした機器に不慣れな方も少なくないことが挙げられています。
こうした課題克服のために、本県としては、高度化PICSに対する理解を深めていただき、安心して利用していただくために、視覚障害者団体等と連携しながら取り組んでいくとのことでした。
こうして令和四年二月二十五日から本県においても歩行者等支援情報通信システム、高度化PICSの運用が開始されました。現在、名古屋市十二基、小牧市五基、豊橋市三基、豊田市に四基設置され稼働しております。
そこで、高度化PICSについて、設置後から現在までの運用を踏まえてどのように評価しているのか、また、音響式信号機について今後どのように整備を進めていくのか伺います。
最後に、高齢者の免許更新について伺います。
一般財団法人自動車検査登録情報協会によれば、令和四年三月末現在、都道府県別自家用乗用車の保有台数は、愛知県が全国一位、二位は埼玉県、三位は東京都、四位は神奈川県となっています。また、世帯当たりの普及状況を見てみると、愛知県が全国二十九位の一・二四一台であるのに対し、保有台数上位に位置する自治体である埼玉県は四十二位の〇・九四一台、東京都は最下位の四十七位で〇・四二一台、神奈川県は四十五位の〇・六八四台となっており、本県の数字を大きく下回っています。こうした比較からも、大都市圏でありながら、いかに本県において自動車が生活に必要とされているかが示されています。
こうした中、令和二年改正道路交通法により、高齢者の運転免許証の更新において新たに運転技能検査が導入され、令和四年五月十三日に施行されました。これにより、七十五歳以上で過去三年間に信号無視等一定の違反歴があるドライバーについては、運転技能検査に合格しなければ運転免許証の更新を受けることができなくなりました。
運転技能検査は、実際のコースに出て普通自動車を運転し、指定速度による走行、一時停止、右折、左折、信号通過、段差乗り上げ等の課題を行い、採点は、運転行為の危険性に応じて百点満点からの減点方式で行われます。七十歳以上の方が免許更新時に受ける高齢者講習の実車講習とは異なり、法改正により義務づけられた運転技能検査は合否判定があるため、受け直しは可能であるものの、期限までに合格できなければ免許失効となる厳しいものです。
こうした背景には、高齢ドライバーによる重大事故の多発が関わっており、今後も増加する高齢ドライバーの免許更新を厳格化することで、事故の未然防止に資するための法改正と言えます。
一方、日常生活における買物や通院、また、仕事に車が不可欠である場合には、安全な走行が可能である限りは必需品であり、運転技能検査の適切な運用が求められることは言うまでもありません。運転技能検査には、ハンドルさばきに関連するS字カーブやクランク走行があるわけではなく、あくまでも基本となるルールを守って走行できるかどうかがポイントとなります。
一方、高齢者にとって合否判定を伴った検査であることに加え、ふだん乗り慣れていない教習車での検査は注意が別のところに奪われるなどし、緊張感と相まって、運転にマイナス影響が出る可能性も否定できません。
現在、運転技能検査において、東三河運転免許センターで使用されている車両は既に生産が終了しているものの、非常に耐久性が高く、大変優れた車であり、現在でも広くタクシーとして使用されているなど、なじみの深い車両です。しかし、一方で、特に免許取得後、軽自動車しか運転してこなかった高齢ドライバーにとっては、あまりに車格が異なるため、相当な心理的負担になっているとも思われます。
全国軽自動車協会連合会の発表によると、軽乗用車ユーザーのうち約六五%は女性とされ、また、軽自動車ユーザーのうち六十歳以上の占める割合は、二〇〇七年度では二一%だったのに対して、二〇一九年度は四〇%と大きく増加しています。
運転技能検査におけるこうしたドライバーの心理的負担を軽減するため、民間の自動車教習所では、高齢者の運転技能検査に軽自動車を利用しているケースもあります。
全国軽自動車協会連合会が発表した統計資料では、二〇二一年の軽四輪乗用車の県別新車販売台数において、愛知県が全国一位となっており、統計開始以来二十四年連続トップということになります。また、同連合会が公表している二〇二二年三月末現在の軽乗用車の保有台数も本県が全国一位、また、軽貨物を含めても一位です。
自動車検査登録情報協会によると、軽自動車の保有比率は、平成元年では二六・一%でしたが、その後、平成十七年では三〇%を突破し、現在は約四〇%まで上昇しており、主な要因として、経済性や使いやすさなどが挙げられています。
少し古くなりますが、平成二十七年九月二十日付の総務省統計局広報資料ナンバー百二号では、世帯における軽自動車の所有と人口の高齢化と題し、軽自動車が増加している現象が分析されています。
この広報資料によれば、軽自動車の所有数量は、人口五万未満の市町村が最も多く千世帯当たり八百三十三台、大都市が最も少なく二百十三台となっており、その差は約四倍。結果として、世帯が所有する自動車全体に占める軽自動車の割合も、人口五万未満の市町村が最も高く四四・三%、大都市が最も低く二三・五%になっているとし、これは、人口規模が小さい地域では、鉄道や路線バスなどの公共交通機関が大都市などと比べると発達していない面があり、人々の日常の移動手段として自動車が欠かせないものになっていることを示していると見られると分析しています。
さらに、世帯が所有する自動車全体に占める軽自動車の割合では、七十歳以上が三七%と最も高く、次いで六十歳代が三六・六%と高年齢層で高くなっているとし、高年齢層の世帯で高い軽自動車の割合についての理由として、経済性や取り回しのよさを上げ、軽自動車の特徴が世帯の収入や行動範囲に照らして高年齢層に好まれているものと推察されると分析しています。
さらに、沖縄県を除く各都道府県においては、軽自動車の割合と六十五歳以上の人口割合は正の相関が見られることから、高齢者の割合が高い地域では、自動車全体に占める軽自動車の所有割合も高くなる傾向にあることが分かるとしています。
そして、今後、我が国の高齢化がさらに進む中で、軽自動車は高齢者の生活を支える重要な足として、その割合はさらに上昇する可能性があると考えられるとまとめられています。
愛知県内においても、名古屋市を中心とする大都市生活圏と他の市町村では、人口規模や高齢化率、公共交通機関の発達の度合い等が異なるため状況が異なると思います。小規模で高齢化率が高い自治体ほど、高齢者にとっての車依存は高くなり、特にその中でも軽自動車の依存が高くなる傾向にあると考えられます。
現在、愛知県において運転技能検査を受けられるのは、平針の運転免許試験場、豊川の東三河運転免許センター、そして、令和四年十月十二日現在、県内二十九の自動車教習所となっています。平針の運転免許試験場または豊川の東三河運転免許センターで運転技能検査を受けた場合、認知機能検査と同日実施が可能となるため利便性が高いと言えます。また、東三河の場合は、検査を実施する自動車教習所が二か所と限られているため、多くの方が東三河運転免許センターを利用されるものと考えられます。
一方、東三河運転免許センターで検査に使用されているのは、軽自動車とは大きく車格が異なるセダンタイプの車両となっています。この車は、もともと愛知県交通安全協会が設置する自動車教習所において教習車として使用されていたものであり、現在、同自動車教習所では、同様にセダンタイプであるものの、よりコンパクトな車種が導入されています。実際に運転席に乗り込んでみると、車のパッケージングやデザインの違いからか、車両の数値以上にコンパクトな印象を受け、車体の大きさによる心理的負担が軽減されていると感じました。いずれはこの車両が東三河運転免許センターで使用されるのではないかと推測いたしますが、相当先になると思われます。
そもそも、自動車教習所の免許を取得する際の教習で使用される車は、法令で最低の大きさが決められており、それに適合する最もコンパクトな車が現在同自動車教習所で導入されている車種であるものの、一方で、民間教習所では、先ほど述べたとおり、高齢者の運転技能検査においては、軽自動車が使用されている例も見られます。
全国一のモノづくり県を支える自動車産業と共に発展してきた本県にとっては、自動車がドライバーにとってより快適で、また、県民にとってより身近で安全であるための環境づくりの最先端となるような取組が必要であると考えます。
そこで、今後における高齢者の運転技能検査についてどのように取り組んでいくのか伺います。
以上、壇上からの質問といたします。(拍手)
4:
◯建設局長(道浦真君) 台風十五号等における災害を踏まえた対応についてであります。
まず、新堀川防潮樋門につきましては、一九六四年に整備してから五十年以上が経過しており、老朽化が進行するとともに、耐震性能も不足していることから、第三次あいち地震対策アクションプランに基づき、新しい樋門に改築することとしております。現在の樋門は、一門当たりの開口幅が約二メートルの六連構造で開口幅が狭いために、洪水時に草木が樋門に引っかかる状況が度々発生していることから、中間に支柱のない構造に改良いたします。
昨年度から設置位置、構造などの基本設計を行っており、今年度は詳細設計に着手し、今後速やかに工事着手できるよう努めてまいります。
次に、今堀川につきましては、河岸の侵食などへの対策として、現況の河川用地内で護岸を整備する工事を下流から実施するとともに、土砂の堆積が著しい区間ではしゅんせつを行っております。これまでに、河川延長約二・一キロメートルのうち、河口から約一・六キロメートル地点までの護岸整備を完了しており、残る約〇・五キロメートルの区間につきましても着実に整備を進めてまいります。
次に、汐川につきましては、二〇一八年九月に公表した二級河川汐川水系河川整備計画に、河口から三河田原駅近くのふれあい橋まで約二・八キロメートルの区間で現況の堤防のかさ上げなどの高潮対策を位置づけております。このうち、従前護岸がなかった区間約〇・二キロメートルを優先して進めることとし、護岸整備に併せて堤防のかさ上げを行っております。
これまでに約〇・一キロメートルが完了しており、残る区間の整備も早期完了を図ってまいります。
また、この区間の完了のめどが立ったことから、今年度より河口から田原新橋までの約一・六キロメートルの堤防かさ上げの設計に着手するなど、事業の進捗に努めてまいります。
最後に、太平洋岸に漂着した大量の流木についてであります。
台風十五号が通過した後、本県の太平洋岸約四十五キロメートルのほぼ全域にわたって、概算で一万七千立方メートルの流木が漂着しております。
そこで、漁港施設などの機能を確保し、海岸環境を保全するため、海岸管理者である県及び豊橋市が国庫補助事業を活用して漂着流木の撤去、処分を行うこととしております。
このうち、漁港への直接的な影響があった赤羽根漁港内については、漂着直後の九月下旬に緊急的に撤去作業を実施しております。残りの区間につきましては、再度の流出を防ぐため、まずは、波打ち際からの撤去、仮置場への搬出を今年度中に行ってまいります。その後、流木の処分や有効活用について、地元豊橋市及び田原市とも連携して進め、来年中の事業完了を目指してまいります。
今後とも、県民の皆様の安全・安心な暮らしを守るため、事前防災対策及び災害対応にしっかりと取り組んでまいります。
5:
◯農業水産局長(
矢野浩二君) 花卉振興策についてのお尋ねのうち、初めに、あいち花マルシェ二〇二二の成果と今後の消費拡大についてお答えをします。
今回のあいち花マルシェ二〇二二は、コロナ禍の巣籠もり需要を契機として、花に関心を持ち始めた若い世代をメインターゲットに開催し、目標を大きく超える約四万人の方々に御来場をいただきました。会場では、小売店に加え、生産者からも直接様々な愛知の花を購入したり、フォトスポットでの記念撮影や親子で花の体験教室を楽しむなど、若い世代を中心に愛知の花のよさを体感していただけたと考えております。
今回の成果を踏まえ、SNSを活用しまして、豊富な花の種類や飾り方など、愛知の花の魅力を発信するとともに、手軽に購入できるようにしてまいります。
加えて、人気が高かった愛知の花を使ったフラワーアレンジメントや寄せ植えの教室を引き続き県内各地で開催をしてまいります。
こうした取組により、若い世代を含めた幅広い世代の方々に愛知の花を身近なものとして生活に取り入れていただき、より一層の消費拡大につながるように努めてまいります。
次に、今後の花卉振興についてお答えをします。
本県の花卉産出額は、一九九八年をピークとしまして減少傾向にあり、特に二〇二〇年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、前年比で約九%減少をしました。その後も燃油や肥料など生産資材の高騰により生産コストが上がり、花卉生産者の経営を圧迫しております。
こうしたことから、県としましては、現在直面している燃油・肥料価格の高騰について、県独自の支援金等により事業継続支援をしております。
花卉の振興につきましては、二〇二一年三月に策定しました愛知県花き振興計画二〇二五に基づき、花卉産業の振興、花卉の文化の振興、花卉の需要拡大を三本柱に、花卉産業のさらなる発展と花のある暮らしの定着を目指して、関係者が一体となって取り組んでおります。
具体的には、暮らしの中に花を取り入れる花いっぱい県民運動やフラワーバレンタインなど、新たな花贈り文化の定着を進め、消費拡大に取り組んでまいります。
また、コロナ禍で需要が減少した品目から他の品目への転換や輸出の促進、国、県の事業を活用した花の栽培施設や集出荷施設の整備などの支援によりまして、生産・流通基盤の強化を図ってまいります。
こうした取組により、生産と消費の両面から本県産花卉の振興に努めてまいります。
6:
◯警察本部長(
鎌田徹郎君) 初めに、信号灯器のLED化についての御質問にお答えいたします。
整備効果につきましては、LED式の信号灯器は、従来の電球式に比べまして、灯火の視認性が向上するため、信号の見落としや西日などによる疑似点灯現象などを原因とする交通事故の抑止に有効であると認識しております。
また、電球式の信号灯器は年に一回程度の電球の交換が必要となりますが、LED式ではこの作業が不要となるため費用が削減できるほか、消費電力が少ないことから維持費が安いなどのメリットがございます。
今後の整備推進方針につきましては、県警察では、現在、信号機を新設する際には全てLED式での灯器での設計を行っているところでございます。また、既設の電球式の信号灯器につきましては、交通死亡事故や重傷事故が発生した場合のほか、灯器の老朽化により視認性が低下していると認められる場所等から優先してLED式の灯器を整備しているところでございます。
今後とも、交通事故の発生状況や地域住民の御要望等を踏まえ、県内全ての信号灯器のLED化に向け、その整備促進に努めてまいりたいと考えております。
次に、高度化PICS及び音響式信号機についての御質問にお答えいたします。
高度化PICSにつきましては、議員お示しのとおり、視覚障害者団体から御要望いただいた地域のうち、視覚障害のある方が頻繁に利用する施設付近の主要な交差点に設置し、運用を開始しております。現在、実際に高度化PICSを利用された視覚障害のある方を対象にアンケート調査を実施しているところでありまして、この結果を踏まえ、今後の整備について検討してまいります。
音響式信号機につきましては、昨年度中の整備数は十九基でありまして、昨年度末現在の累計では千四百五基となり、東京、大阪に次いで全国第三位の整備数となっております。
音響式信号機は歩行者用灯器の青色表示に合わせて音響を発するものでありまして、視覚障害のある方に安全に道路を横断していただく上で大変重要な施設であると認識しております。
今後とも、視覚障害のある方や視覚障害者団体等の御意見や御要望を踏まえまして、周辺の環境にも配意しつつ、その整備を進めてまいりたいと考えております。
続きまして、運転技能検査の取組についての御質問にお答えいたします。
運転技能検査は、七十五歳以上の高齢運転者のうち、過去三年間に信号無視など一定の違反行為がある方を対象に、身体機能の低下に関わる運転技能について検査を行い、有効期間の満了日までに合格できない場合は運転免許の更新ができなくなるという制度でございます。
使用する車両につきましては、道路交通法上の普通自動車とされておりまして、安全上、助手席に補助ブレーキを備える必要がございます。また、検査におきましては、実際にコースを走行し、五つの課題を行いますが、実施する課題は、一時停止や信号通過などといった基本的な運転操作でありまして、クランク走行や方向変換など難易度の高い走行は行っていないことから、車両の違い等が検査に与える影響は極めて限定的であると認識しております。
県警察といたしましては、検査の実施前に、課題の実施方法、採点等の方法、道路交通法令に従った適切な運転方法等につきまして分かりやすい説明に努めるとともに、車両感覚に慣れていただくため、検査で使用する車両で慣らし走行を行うなど、受検者の心理的な負担の軽減にも努めているところでございます。
また、受検者の利便性の向上を図るため、自動車教習所に対して働きかけを行いまして、運転免許試験場と東三河運転免許センターに加えまして、県内二十九か所の自動車教習所におきましても運転技能検査が受検できる体制を構築しているところでございます。
今後とも、受検者の心理的な負担の軽減に配慮しつつ、運転技能検査の制度を適正に運用し、交通事故の抑止に努めてまいりたい、かように考えております。
以上でございます。
7: ◯知事(
大村秀章君)
山本浩史議員の質問のうち、私からも花卉の振興についてお答えをいたします。
本県は花卉の産出額が一九六二年から五十九年連続して日本一を誇っておりまして、まさに花の王国であります。
特に東三河地域は花の種類、量、質ともに全国の花卉産地をリードしており、この地域で導入された技術や取組は、県内をはじめ全国に波及しております。このため、国や県の事業により生産流通施設等の整備を支援し、生産拡大を図っているところであります。
また、花卉の振興には需要拡大の取組が特に重要と考えておりまして、毎月今月のあいちの花を紹介したり、スポーツイベントにおきまして優勝者へ本県産花卉を贈呈するなど、愛知の花を継続的にPRしてまいりました。
毎年、夏の大相撲名古屋場所の優勝力士に愛知の花束をどかんと二百本、十五、六キロありますけど、あれを贈るというのもPRの一環でございます。
さらに、二〇一二年度から開催しておりますあいち花フェスタ、あいち花マルシェをはじめ、名古屋市内と首都圏においてフラワーバレンタインのイベントを実施し、県内外の皆様に愛知の花の魅力を十分堪能いただいているところであります。
今後とも、私が先頭に立って生産振興とさらなる需要拡大に取り組み、花の王国あいちをより一層発展させてまいります。
8: ◯四十七番(
山本浩史君) 様々御答弁いただきましてありがとうございます。
一点、要望いたします。
東三河運転免許センターにおける高齢者の運転技能検査ですが、周辺地域の特性からも軽自動車の使用割合が高いと考えられます。先ほど御答弁いただいた取組とともに、ふだん乗り慣れた車に少しでも近い車によって、より現実に即した運転技能検査となるよう、そうした車種へのシフト、または導入も含めて、今後引き続き対策を検討していただきますように要望し、質問を終わります。ありがとうございます。
9: ◯副議長(
佐藤一志君) 進行いたします。
ますだ裕二議員。
〔三十番ますだ裕二君登壇〕(拍手)
10: ◯三十番(ますだ裕二君) それでは、通告に従い、順次質問させていただきたいと存じます。
今年、プロ野球界では、村上宗隆選手が最年少で三冠王に輝きました。
歴代最も三冠王を獲得した選手といえば、何といっても地元中日ドラゴンズで活躍した落合博満さんであると思います。そんな落合博満さんが歌を出されていることは御存じでしょうか。中村美律子さんとのデュエットで、名古屋の歓楽街で繰り広げられる男女の恋物語を歌った恋の広小路という歌であります。
一九九〇年、ちょうどバブル期に発売された歌とあって、歌詞に登場する広小路を中心とする栄・錦周辺は、パリを思い出すと歌われるほど、たくさんの人でにぎわい、様々なロマンが繰り広げられていたと思慮されます。しかし、その後、バブルは崩壊し、リーマンショック、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、まちの雰囲気は一変していきました。
現在のまちの状況は、客足は戻りつつありますが、それ以上に、各交差点にはターゲットを見定めている客引きらしき集団が多く散見され、足元のふらつくサラリーマンの後ろから忍び寄るように近づき、言葉巧みに声をかける。私もたまに行事等で夜のまちに出かけると、このような風景を目にすることがあります。
そんな歓楽街を受け持つ警察署が愛知県中警察署であり、県内で最も刑法犯認知件数が多い、多忙な警察署であります。さらに、この管轄内で最も忙しいとされるのが栄幹部交番であり、県内の交番で一一〇番通報件数が最も多く、その中でも歓楽街ならではのけんか事案や泥酔者の事案が他の交番と比べて圧倒的に多かったと聞いており、毎日多忙を極めているような状況であります。
私も、過去に三度、栄幹部交番の建て替え、交番機能拡充について質問させていただき、今年度は建物の設計を実施していただいていることから、いよいよ来年度建て替えに向けた準備を進めていただいているものと思っております。
前回までの質問を少し整理させていただきますと、富山県の交番襲撃事件を背景に、来訪者に対応する警察官の待機スペースに簡単に侵入できないような対策を取っていただくこと、女性警察官のプライベート空間を設けていただくこと、そして、建て替えの際は、地元の方々の意見や名古屋市のまちづくり構想、さらには隣接する朝日神社の境内にある国の登録有形文化財であるばん塀を生かした、周囲の町並みと調和したデザインとなるよう進めると、整備方針をお示しいただきました。
交番はまちのシンボルでありますので、築五十八年を迎える栄幹部交番が機能拡充し、新たなデザインで建設されることを心待ちにしている地域住人や地元の団体の皆様の期待は計り知れないものがあります。
一方で、期待の中にも不安の声があるのも事実です。それは、栄幹部交番の建て替え期間中の来訪者対応、歓楽街で起こる事件対応であります。
私も、錦三丁目地区の都市景観をよくする会、錦三商店街協同組合、栄ミナミまちづくりの会、栄ミナミを住みよくする会、南大津通商店街振興組合、南伊勢町通商店街振興組合、住吉通商店街振興組合、プリンセス大通り商店街協同組合、サン大津商店街振興組合、栄町内会より、栄幹部交番建て替えの際の治安維持対策について、中警察署長宛ての要望書をお預かりし、十一月二十五日にお渡しさせていただいています。
広小路通りの一等地にあることから対応が可能であった案件もたくさんあり、管轄内の周辺の交番に警察官を分配すれば対応できるものではないと思います。さらに、二〇二六年アジア・アジアパラ競技大会の開催に向け、高級ホテルの建設や歩行空間を生かした新たなまちづくりが進められる中で、現在でも中区に住んでいる人口の三倍以上の方がお越しいただいている地域でありますが、今後はより多くの方々がこの地域にお越しになられるということは安易に想像ができます。
そこで、地域の治安維持の要であります栄幹部交番の建て替えについて、幾つか質問させていただきたいと思います。
まずは、新しい栄幹部交番の計画について伺います。
先ほども少し触れさせていただきましたように、本年度、栄幹部交番の実施設計を行っていると伺っていますが、これまでに
愛知県議会本会議の場で、歴代の警察本部長に御答弁いただいております、女性施設の整備、警察官と来訪者を分離する安全対策、町並みに配慮した外観に関して、具体的にどのような交番になる見通しであるのか、現在の状況をお聞かせください。
次に、栄幹部交番の機能を維持するための臨時施設の可能性について伺います。
通常、交番を建て替える際には、工事期間中の臨時の施設は設置しないということは認識しています。しかしながら、栄幹部交番は、愛知県を代表する歓楽街である錦三丁目や住吉地区等を管轄する交番であり、各種犯罪被害が多く発生しているほか、歓楽街特有の飲酒に絡むもめごとや、飲食店での料金トラブルをはじめとする各種もめごとが多発しており、県内で最も一一〇番通報件数の多い多忙な交番であります。このような栄幹部交番の特殊性を考慮し、例外として工事期間中の臨時施設が必要ではないかと思いますが、県警本部長のお考えをお聞かせください。
そして、最後に、地域の皆様方からも多く要望をいただいている、栄幹部交番建て替え工事期間中の治安維持方策についても併せて県警本部長のお考えを聞かせてください。
質問の二つ目は、愛知県文化財登録制度の創設であります。質問に入るまでの説明が少し長くなりますが、御容赦願いたいと思います。
文化財保護法では、文化財を保存、活用し、国民の文化的向上に資することを目的として、文化財保護の制度について規定しています。法第百八十二条第二項においては、地方公共団体は、条例の定めるところにより、国指定文化財以外の文化財で当該地方公共団体の区域内に存するもののうち重要なものを指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講ずることができるとされています。これが、いわゆる県指定文化財、市町村指定文化財であり、これまで本県でも県内の重要な文化財を指定して保護していただいています。
そうした中、文化財保護法の一部改正が本年四月一日に施行され、法第百八十二条に第三項として新たな条文が加わりました。この第三項の内容は、国指定文化財、都道府県指定文化財、市町村指定文化財、国登録文化財以外の文化財で当該地方公共団体の区域内に存するもののうち、その文化財としての価値に鑑み保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを当該地方公共団体の文化財に関する登録簿に登録して、その保存及び活用のため必要な措置を講ずることができるというものであります。区域内の文化財を地方公共団体の文化財に関する登録簿に登録して、保存、活用の措置を講ずることができるというのが、地方公共団体による文化財登録制度であり、本県に当てはめれば、今回の質問のテーマである愛知県文化財登録制度であります。分かりやすく言えば、これまでは文化財として希少価値の高い順に、国指定、県指定、市町村指定、国登録といった区分がなされていましたが、国登録の下に県登録という新たな文化財保護制度を創設することにより、地域の文化財により幅広く保護の網をかけ、その地域における文化財保護の取組をさらに後押ししていくというものであります。
私たちになじみのある県指定文化財は、相当の時間をかけて県指定文化財にふさわしいかどうかの詳細の調査を行うことが求められます。また、県指定文化財として指定された後には、保存修理などに手厚い支援はありますが、修理等の現状変更には県の許可が必要となるなど、文化財としての価値を守るための様々な制限があります。
一方で、新たに規定された地方公共団体による文化財登録制度は、緩やかな基準で文化財としての価値が認められ、指定文化財ほどの手厚い支援はないものの、県登録文化財として広く認知されることで、文化財の所有者や担い手の保存、継承への意識が高まり、もって保存、継承、活用促進の期待がされるというものであります。
こうした内容の地方公共団体による文化財登録制度でありますが、文化財保護法では、制度を設けることができるというできる規定となっており、制度を設けるか設けないかの判断は各地方公共団体に委ねられています。
私は、制度が法令で位置づけられたことにより、多くの都道府県で制度創設が進むのではないかと思っていましたが、各都道府県の文化財登録制度の創設状況を見てみますと、文化財保護法の一部改正から約八か月が経過した現時点までに新たに登録制度を創設したのは、千葉県、和歌山県、佐賀県の三県のみであります。この三県のほかに、京都府、大阪府、兵庫県の三府県が今回の文化財保護法の一部改正前から独自の登録制度を条例で定めていますので、この三府県を加えても、現時点で文化財登録制度を持っているのは六府県ということになります。この六府県以外は未定や検討中とのことであり、聞くところによると、令和五年度または令和六年度に文化財登録制度の創設を予定しているのは三、四県程度に留まり、中には文化財登録制度は創設しないと判断された県も相当数あるようです。
このように都道府県によって温度差がある文化財登録制度について、私は昨年の九月議会の一般質問において、伝統的工芸品を後世に残していくために、伝統工芸士のすばらしい技術を無形文化財として登録するような制度の必要性を訴え、本県に文化財登録制度を設けてはどうかと質問させていただきました。県民文化局長からは、社会の変化に対応した文化財保護制度の整備を図るという法改正の趣旨を踏まえ、文化財登録制度の創設に向けて前向きに取り組んでいきたいとの御答弁がありました。昨年九月議会の答弁以降、文化財登録制度の創設に向けた検討を進めていただいていると思いますし、文化財登録制度の創設には県文化財保護条例の一部改正が必要となりますので、今後、しかるべき時期に条例改正案が県議会に提案されることと思います。
このように着々と準備を進めていただいている中で、既に文化財登録制度を運用している他県の状況をお聞きしたいと考え、田中泰彦議員と一緒に十一月中旬に兵庫県に視察に行ってまいりました。
本来であれば、文化財保護法の一部改正を受けて全国でいち早く文化財登録制度を創設した千葉県、和歌山県、佐賀県の三県のいずれかに出向き、成果や課題についてお話を伺いたいと考えましたが、三県とも、制度は創設したものの、具体的な運用が始まったばかりであり、現時点では登録した文化財が一件もないとのことでありました。
そこで、今回の文化財保護法の一部改正前から独自に文化財登録制度を運用してきた京都府、大阪府、兵庫県の中から、今年九月のニュースで地域の祭り五件を県登録文化財に登録したという記事が取り上げられていた兵庫県を調査先に選定し、文化財担当者にヒアリングを行うなど調査を行ってまいりました。
兵庫県の文化財登録制度は、平成十八年度に有形文化財の建造物を対象に制度を創設し、その後、令和三年度には、行事やお祭りなどの無形民俗文化財を対象に追加して運用しています。
兵庫県が文化財登録制度の創設に至った経緯は、平成七年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災であったそうであります。震災後に、文化財保護審議会から、建造物などの有形文化財を守るための緊急提言が行われ、その後、平成十四年度には、地域コミュニティーの核である身近な歴史文化財の活用と愛着と誇りある地域社会の再形成を目的とした歴史文化遺産活用構想が策定され、平成十八年度に有形文化財のうち建造物を対象とする文化財登録制度の創設に至ったとのことでありました。
また、行事やお祭りなどの無形民俗文化財については、文化庁の補助事業を活用し、平成二十九年度から令和元年度までの三年間かけて、市町教育委員会と一緒になって地域に埋もれている行事やお祭りの調査を行ったそうであります。この調査で掘り起こされた行事やお祭りを次の世代に形として残していくために、令和三年度に文化財登録制度に無形民俗文化財を追加したそうであります。
これらの経緯をお聞きすると、県と市町が一緒になって歴史や文化を残していこうとする思いや、地域の方々が自分たちで引き継いできた伝統的な行事やお祭りを次の時代に引き継いでいきたいという強い意志があって、ボトムアップの形で文化財登録制度の創設に至ったものであり、文化財登録制度をつくるだけが目的ではなく、この制度によって地域コミュニティーの大切さを改めて認識していただくなど、歴史や文化を次の世代に引き継いでいくための手段として活用しているのが、兵庫県の文化財登録制度であるということを学ばせていただきました。
文化財登録制度がきっかけとなって、地域の宝である歴史や文化を地域の方々と一緒になって残していける体制が構築され、観光資源としてまちおこしにもつながることや地域コミュニティーの再構築が図れることも、文化財登録制度の大きな副産物であると思います。
また、兵庫県では、登録した文化財に対する補助制度も運用しています。登録した文化財を次の世代にしっかりと引き継いでいくためには、ただ単に登録して価値づけをするだけではなく、兵庫県のように、保存や継承の取組を資金面でもサポートすることも重要であり、本県においても補助金等の予算措置を併せて検討していくことが必要であると感じました。
兵庫県では、県の指定文化財にはハードルが高く指定されなかった文化財でも、登録制度という門戸を広げたことにより、地域に埋もれてしまった行事やお祭りが登録され、補助制度が活用できることとなりました。
では、愛知県に置き換えると、今回の愛知県文化財登録制度の創設によって、県登録文化財として登録されることでどのような効果が期待できるのか、私の地元である中区の工芸技術やお祭りを例に紹介しながら要点を整理したいと思います。
まず、工芸技術の例を紹介します。工芸技術は、文化財保護法上の種別では無形文化財になります。文化庁の説明によりますと、無形文化財とは人間の技そのものであり、具体的には、その技を体得した個人または団体によって体現されるとされています。
私の地元の伝統的工芸品でもあります名古屋仏壇は、完成までの全工程の技を九種に分類しています。具体的には、木地、屋根、彫刻、塗り、内金物、表金物、蒔絵、箔置、仕組の九種ですが、そのうち五種以上に職人が携わっているものが名古屋仏壇であると定義づけられていることから、まさに技の集大成により名古屋仏壇という一つの伝統的工芸品が作られているということです。この名古屋仏壇の歴史は古く、文献によると、元禄八年(一六九五年)に高木仁右衛門が仏壇専門店ひろやを創業したときからと言われ、宮大工、寺大工職人であった人たちが専門化して仏壇を製造していたと言われています。その後、尾張藩による仏壇業者の保護があって今日に至っているそうであります。
そんな歴史ある名古屋仏壇の金具部門を担当する伝統工芸士が、私の中学校の先輩でもある渡邊一矢さんです。渡邊さんは、祖父から金具部門の技術を継承するため、平成九年から従事し、平成三十年に伝統工芸士として登録されました。どこか懐かしい香りのする作業場で話を聞かせていただきましたが、ふと目に入ってくる使いこまれた道具が引き継いでこられた歴史の長さを物語っていました。そして、使い込まれたたがねと呼ばれる金属の棒をハンマーで打ちつけ、力の強弱や数百種類のたがねを使い分けることで独創的な模様を作り出し、その模様づけされた金具は名古屋仏壇の九種の技の一つとして輝きを放っていました。
私は、こうした名古屋仏壇の技を文化財の種別である無形文化財として考え、県登録文化財制度において文化財として登録することができれば、伝統的工芸品である名古屋仏壇に文化財としての新たな価値が付け加わることとなり、積極的にPRすることで認知度が向上すれば、後継者の確保や技術の継承にもつながるのではないかと考えています。
次に、中区の祭りの例を紹介します。
祭りは、文化財保護法上の種別では無形民俗文化財となります。文化庁の説明によりますと、無形民俗文化財とは、人々が日常生活の中で生み出し継承してきたもののことで、正月行事、盆行事などの風俗習慣、獅子舞や盆踊りなどの民俗芸能であるとされています。
私の地元には、那古野神社で長年続く天王祭という祭りがあります。
那古野神社は、九一一年に創建されたものの、一五三二年の合戦で焼かれた社殿を一五四〇年に織田信長の父信秀により再建され、明治九年に旧藩校明倫堂跡地である現在の丸の内に移転されました。
そんな歴史ある那古野神社で七月十五日と十六日に開催される天王祭は、江戸時代には東照宮祭、若宮まつりとともに名古屋三大祭りに数えられ、名古屋城下を代表するお祭りであります。こうした歴史ある天王祭ですが、文化財としての価値づけでは無形民俗文化財として指定されるまでには至っていません。
コロナ禍の影響もあり、また、お祭りを支えるコミュニティーの皆様の関わり方も希薄化しているなど、存続が危惧される中で、新たに創設する文化財登録制度により県の登録文化財として登録されれば、その地域の皆様が祭りの価値を再認識するきっかけとなり、祭り関係者の保存や継承に対するモチベーションも高まることとなると思います。また、登録文化財の保存・継承活動の費用の一部でも、県が補助金によって支援することがあれば、保存、継承の取組はさらに活発化することと思います。本県が創設する文化財登録制度では、登録後の支援も含めて、最大限の効果が生まれるような制度設計に期待したいと思います。
私の地元の例として、名古屋仏壇、那古野神社の天王祭を紹介いたしましたが、このほかにも県内の各地域には、次の世代に引き継いでいくべき未指定の文化財がたくさんあると思われます。歴史は、一度途絶えてしまうと、次の世代には引き継ぐことはできません。緩やかな基準で文化財としての価値が認められる文化財登録制度をきっかけとして、市町村や県が積極的に支援する体制を構築することができれば、その文化財の保存や継承に大きな意味を持つのではないかと考えています。
以上、先行する他県の状況や私の地元の例を紹介しながら、県の文化財登録制度創設への期待を含め、様々な切り口から申し上げてきましたが、こうしたことを踏まえて、現在検討中の愛知県文化財登録制度の創設について三点お伺いをいたします。
まず初めに、文化財保護法の一部改正に伴う本県の文化財登録制度について、どのような制度設計をお考えなのか、現在の検討状況をお聞かせください。
次に、文化財登録制度の創設に向け、今後どのようなスケジュールで検討を進めていかれるのか、県のお考えをお聞かせください。
最後に、文化財登録制度を創設するのであれば、登録された文化財の保存や継承、活用に対する支援が必要であると考えますが、県のお考えをお聞かせください。
以上、栄幹部交番の建て替え期間中の治安維持対策と、愛知県文化財登録制度の二点について質問をさせていただきました。理事者各位の明快な答弁をお願いいたしまして、質問を閉じさせていただきます。御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)
11:
◯警察本部長(
鎌田徹郎君) 栄幹部交番の建て替えにつきましての御質問にお答えいたします。
建て替えを計画しております栄幹部交番につきましては、交番が担うべき目的や機能を満たした設備となるよう設計を進めているところでございます。
議員お示しの事項につきましては、女性警察官がより働きやすい環境とするため、女性専用の宿直室とトイレを整備するとともに、警察官と来訪者を分離する安全対策の観点からは、容易に乗り越えることができない高さのカウンター及び防御板等を設置することとしております。
また、交番の外観につきましては、隣接する朝日神社との調和を図りつつ、多くの人が行き交う広小路通りに面して建つ交番としてふさわしいデザインとなるよう設計を進めているところであります。具体的には、一階と二階をガラス張りとすることで解放感のある建物とする一方、外壁を朝日神社の歴史に調和する土壁風塗装とすることなどを盛り込んでいるものでございます。
次に、栄幹部交番の建て替え工事期間中の臨時の施設についてお答えをいたします。
議員お示しのとおり、県警察では、交番や駐在所の建て替え工事期間中には原則として臨時施設を設置せず、工事中の交番等で勤務していた警察官を周辺の交番等に配置するなどして各種の事案等に対応してきているものでございます。
しかしながら、栄幹部交番は、通常の交番と異なりまして、県内有数の歓楽街を管轄し、刑法犯認知件数のほか、一一〇番通報や警察署への通報件数が県内で最も多く、そのため警察官の配置人数を最大とするなど、極めて多忙な交番でございます。また、取扱い事案が増加する夜間におきましては、周辺の交番の警察官を集めて拠点交番としての機能を果たしております。
こうした現状から、栄幹部交番の建て替え工事期間中につきましては、例外的に警察官の活動拠点や待機場所となる臨時施設等を設置する方向で検討してまいりたいと、このように考えております。
続きまして、栄幹部交番建て替え工事期間中の治安維持方策についてお答えいたします。
建て替え工事期間中におきましても、栄幹部交番の管轄区域で活動する中警察署警察官の人員は維持しまして、これまでと同様にパトロールや巡回連絡などを積極的に行ってまいります。
また、さきに申し上げました臨時施設のほか、警察車両による駐留警戒場所の確保や、県内において機動的に警らを行う警察本部自動車警ら隊等の管内への積極的な投入なども検討しているところでございます。
いずれにいたしましても、一一〇番通報などの事案や各種届出に迅速に対応できる体制を確保いたしまして、治安に間隙を生じることのないように万全を期してまいりたいと考えております。
以上でございます。
12:
◯県民文化局長(伊藤正樹君) 文化財登録制度の創設に関する御質問のうち、まず、現在の検討状況についてお答えをいたします。
地方公共団体による文化財登録制度は、従来からの文化財指定制度を補完する制度であり、歴史性や学術的評価の蓄積といった観点で文化財として指定するまでには至らないものの、相応の文化財的価値が認められる地域の文化財について、登録文化財の原簿に登録することで文化財として位置づけ、保護の網をかけることで、保存、活用を図っていくという制度であります。
こうした制度の趣旨を踏まえ、対象とする文化財の種別については幅広く設定したいと考えております。具体的には、国の登録文化財と同様に、建造物や美術工芸品等の有形文化財、芸能、工芸技術等の無形文化財、無形の民俗文化財に用いられる衣装、器具等の有形民俗文化財、風俗慣習、民俗芸能等の無形民俗文化財、史跡、名勝、天然記念物等の記念物の五つの種別でございます。
登録までの手続は、文化財指定制度に準じるものとし、県の文化財保護審議会への諮問、登録原簿への登録、県公報での告示としたいと考えております。従来からの指定制度では、諮問後にさらに詳細な調査が必要となりますことから、答申までにはおおむね半年を要しておりますが、登録制度では簡便な調査で足りることから、諮問、答申を同日に行うことも可能としたいと考えております。
なお、審議会へ諮問する文化財の選定に当たっては、地域の文化財の事情に詳しい市町村の協力を得て情報収集や調査を行うなど、市町村との連携を密にしながら幅広く行ってまいります。
次に、今後のスケジュールについてお答えをいたします。
制度内容をまとめるに当たっては、県文化財保護審議会委員の御意見を伺いながら、昨年度から検討を重ねてまいりました。
これまでに委員からは、幅広い種別を登録対象とすべき、多くの未指定文化財を積極的に掘り起こして登録していくことが必要、審議会での手続を簡素化するなどスピード感を重視すべき、市町村との連携が不可欠、所有者等に保存、継承、活用を促すためには補助制度も必要など、様々な意見が示されたところであります。
こうした御意見を踏まえた制度設計の大まかな方向性については、先ほど御答弁したとおりでありますが、今後さらに詳細を詰めた上で、来年一月には審議会委員に全体像をお示しして、制度内容をまとめていきたいと考えております。
最後に、登録制度が創設された場合の支援についてお答えします。
未指定文化財の所有者や担い手の皆様は県登録文化財として登録されることによって初めて、県指定文化財と同様に文化財保護審議会委員や県による技術的指導、助言などを受けることができるようになります。
本県としましては、審議会委員の協力を得ながら、様々な機会を通じて積極的に助言等を行うことで、登録された文化財の保存や継承、活用に対する支援を行ってまいりたいと考えております。
また、登録された文化財の価値を多くの方々に知っていただくことも重要でありますので、登録時のプレスリリースや県ウェブページ、文化財ナビ愛知での紹介はもとより、市町村に対して広報や観光資源としての活用を働きかけるなど、登録された文化財を幅広く周知してまいりたいと考えております。
議員が地元の例として取り上げられました伝統的工芸品を支える技や地域の祭りなども含め、県内の様々な未指定の文化財の所有者や担い手の皆様にとって、その文化財の保存や継承、活用につながる文化財登録制度となるよう、制度設計や支援の仕組みについて引き続きしっかりと検討してまいります。
13: ◯知事(
大村秀章君) ますだ裕二議員の質問のうち、愛知県文化財登録制度について、私からもお答えいたします。
その前に、こちらにちょっとちっちゃいのですけど、これ、名古屋仏壇というか尾張仏具、金具師さんが作ったこういうピンバッジでございまして、これは金のシャチホコでございます。こういうのが何種類かあるんですね。ということで、今日はちょっとつけてみました。ありがとうございます。
さて、県による文化財登録制度の創設に当たっては、従来からの文化財指定制度を補完する制度として、これまで未指定であった文化財に対して、いかに幅広く、いかに早く保護の網をかけられるかが重要であります。
今、県民文化局長の答弁にもありましたとおり、一月には文化財保護審議会委員に全体像をお示しして、制度の内容を固めてまいりますので、その後、速やかに文化財保護条例の一部改正を県議会に提案をさせていただきまして、条例に位置づけてまいりたいというふうに考えております。
また、県登録文化財に登録されたことを契機として、その文化財の所有者や担い手の皆様に新たな取組に挑戦をしていただくことも大変重要でありますので、登録された文化財の価値や魅力を多くの方に知っていただく取組や後継者育成のための取組など、所有者や担い手の皆様が実施する活用や継承のための事業に対する財政的な支援も検討してまいりたいというふうに考えております。
本県といたしましては、文化財保護法の一部改正の趣旨を踏まえまして、今日まで守り伝えられてきた県内の様々な未指定の文化財に光を当てまして、そうした文化財が地域の誇りとして後世に引き継がれるよう、新たに創設する文化財登録制度を積極的に運用することで、保存や継承、活用にしっかりと取り組んでまいります。
14: ◯副議長(
佐藤一志君) 進行いたします。
鈴木まさと議員。
〔三十八番
鈴木まさと君登壇〕(拍手)
15: ◯三十八番(
鈴木まさと君) 議長のお許しを得ましたので、三項目について質問いたします。
まず第一点目は、障害者等専用駐車場のマナーについてであります。
スーパーをはじめ、いろいろな大型店の玄関付近に車椅子のマークが描かれた専用の駐車場スペースがあるのをよく見かけるところであります。あれは、障害者等専用駐車場となっておりまして、車椅子を利用されている方、あるいは障害をお持ちの方、高齢の方、あるいは妊婦さん、そういった方々が遠くに止められたのでは大変ということで、出入口付近に優先的に止められるという配慮から生まれた制度であります。専用の駐車スペースでありますが、この専用スペースに健常者が止めてしまって、本当に必要な方が止められずに困っているということをよく耳にするところであります。
そこで、こういう事例をうまく話題に取り上げて、マナーや思いやりのある社会をつくってはどうかと思っているところであります。
最近では、健常者が障害者マークのマグネットを購入して車両に貼りつけ、障害者等駐車場区画に駐車する悪質な方まで出てきているとも聞いているところであります。
車椅子マークは、国際シンボルマークで決められた世界共通のものです。青い四角に白で車椅子に人が乗っている様子がデザインされておりまして、車椅子使用者や肢体不自由者のみならず、全ての障害者を対象としております。
冒頭のこういう問題に関して、全国ではパーキングパーミット制度を導入している事例も数多く聞かれるところであります。これは、二〇〇六年に佐賀県で導入され、全国に普及した制度であります。この許可証については、県同士の相互利用可能な協定を結んでいる事例もありますので、県をまたいでも利用できるという許可証となっていることもあります。スーパーなどで出入口付近に車椅子マークがある駐車場のことですが、こうしたスペースの利用者に許可証を発行するというのがパーキングパーミット制度です。駐車許可制度と言い換えることもできます。
もともとスーパーなどで車椅子の方、障害をお持ちの方、妊産婦の方々の負担を減らしたいというマナーから設けられた駐車スペースです。利用希望者はそれぞれの自治体窓口で申請し、障害などの状況に応じて許可証を発行します。利用するときには、プラスチックの札でフックのついている許可証を自動車のバックミラーにつり下げて車を駐車します。
この制度が導入されれば、許可証なしで不正に駐車している車はすぐに分かりますし、例えば、一見健常者に見える妊娠初期の方や内面的な障害をお持ちの方なども、いわれのない批判を受けることなく安心して駐車することができるという制度となっているところであります。
しかし、全国的にはまだ導入に至っていない県もあります。その理由としては、小さいスーパーなどでは駐車スペース自体を確保するのが困難な事例があるからであります。
許可証を発行すると、駐車スペースが足りないなどの逆のクレームが発生する可能性があります。パーキングパーミットは、障害者などに利用証を交付することで障害者用駐車場の適正利用を図るものであります。しかしながら、都市部では利用対象者の人口が多く、敷地の制約もあります。このような状況では、利用証は持っているのに利用できないという問題が生じてきます。特に広い乗降スペースを最も必要とする車椅子利用者の方が利用できないという事態も考えられるとの全国的な事例もあるそうであります。
また、ほかの県では、パーキングパーミット制度の効果について検証を行ったところ、実施エリアと実施していないエリアで健常者による不適正利用に大きな差が見られないという調査結果もあります。これは、パーキングパーミット制度が強制力のない任意の仕組みであること、商業施設において不適正利用に対する指導が難しいことなどが原因として考えられます。
一方、障害をお持ちの方の声として、車椅子で買物中にほかのお客様から迷惑がられた、障害者用駐車場を健常者が利用して駐車できなかったといった障害者の体験もあるそうであります。
他方、手助けしたいという気持ちがあっても、困っている障害者を見かけたときの声がけは戸惑いや気恥ずかしさなどで気軽にできないという人もおります。また、障害者の側も、ヘルプカードを自分の車に貼るなどのマナーも周知宣伝してほしいという声もあります。
バリアフリー社会の実現には、法整備だけに頼るのではく、障害者に対する健常者の心の中のバリアを解消していくことが、法整備の前提として大事だと思っておるところであります。社会参加が進む障害者と積極的に関わる中で、心のバリアフリーに努めるべきと考えるところであります。つまり、規制をかけるのではなく、こういう障害者の駐車場問題を社会的にいろんな場面で取り上げて、マナーや思いやりのある社会をつくってはどうかと思っております。
障害者等専用駐車場のマナー問題に関して、どのように行政としてお考えか、お伺いしたいと思っています。
では、二点目です。農福連携についてです。
農業と福祉の連携は確実に拡大しつつあるという、いろんな農福連携の現場に行くたびに実感しているところであります。
岡崎市内の農福連携の事例を一つ紹介いたします。
一面のサツマイモ畑であります。その一面のサツマイモをトラクターで収穫するのに一時間かかります。しかし、サツマイモの根本の草を手作業で取る作業も同じ一時間かかってしまいます。しかし、サツマイモの根本の草取りは障害者の皆さんが取ってくれるようになり、農作業全体に欠かせない戦力となっておりますという話でありました。どうしても手作業に頼らざるを得ない作業内容を障害者の皆さんにお願いする事例を多く聞くところであります。
そこで、まずお伺いします。
農福連携に関する障害福祉サービス事業所へのアンケート結果からは、どのような関心の程度が読み取れるのでしょうか。
ここで、香川県の事例を紹介いたしたいと思っております。
同県の社会就労センター協議会が共同受注窓口となって、作業を委託したい農家等と作業を受託したい障害福祉サービス事業所をマッチングする支援を実施して、県レベル、現場作業レベル双方で農業サイドと福祉サイドが連携することで支援が可能になっております。
農業においては、手作業に頼らなければならない部分が多くあり、農業者の側にも障害者労働力に対する需要が多くあるのではないかと考えておるところであります。
一方、障害者の側からも、障害は一人一人違い、なかなか難しいのでありますが、その人に合った仕事内容をオーダーメードで提供する必要があります。
愛知県でも香川県同様に仕事のマッチングをしていると思っておりますので、質問いたします。
愛知県では、農業分野において農福連携相談窓口を設置しておるとお伺いしておりますが、農業者が障害福祉サービス事業所をマッチングするために、どのような取組が行われているのでしょうか。また、農業研修の機会などに障害者を使った作業実例を紹介してもらうと、今まで障害者を働き手として使ったことのなかった農業者にとっても具体的で分かりやすいのですが、どのような実例紹介を行っているのでしょうか、お伺いしたいと思っております。
次に、三重県の事例を取り上げます。
農福連携では、農業の知識はもちろん、障害者の適性などを含めた福祉の知識と経験も必要であります。今回、農業チャレンジ事業では、障害福祉サービス事業所が農業の知識を持った方に生産などを学びましたが、逆に農業法人が福祉の知識を必要とする場合も考えられます。
そこで、農業と福祉の両方の知識を兼ね備えた農業版ジョブコーチの存在が不可欠として、農業版ジョブコーチ育成に力を入れておるとのことであります。
このような農業版ジョブコーチの育成に力を入れております一般社団法人三重県障がい者就農促進協議会は、三重県から委託を受け、農業版ジョブコーチの育成をするために立ち上げた法人ですが、今では農福に関する問合せや、その他何でもここに聞けば全てが相談できるワンストップ窓口の役割を担ってきておるところであります。例えば、御家庭で農家をされている方へ障害者の方ができる作業の判別や説明をしたり、繁忙期だけの採用をお願いするなど、具体的な橋渡しをして、障害者一人一人が働ける環境を農家と共につくっていきます。
農福連携を進めるためにも、このような農業版ジョブコーチの育成が必要だと思っておりますが、愛知県ではどのように進めておるのでしょうか。
農福連携についてお伺いすると、なかなか難しい課題として、収穫期は忙しく、冬期には作業がなくなり、平準化が困難なこと、それから、作業指導に時間を要し、作業者の育成、指導にコストがかかるなどの課題があるとお伺いしておるところであります。
さらに、農家の手作業労働の委託にとどまらず、畑で野菜を栽培して、それを漬物に加工して販売しようという障害福祉サービス事業所の実例もあります。農業と福祉の連携が農福連携と言うなら、商業と福祉の連携を商福連携とでも言うのでしょうか。
そうした取組におきましては、まず、売る場を選定する、この売る場選定が非常に大きなウエートを占めておると聞いておるところでありますが、次に、売るものを、例えば野菜の漬物と決めて、それに必要な野菜を畑で栽培するというようなイメージであります。
こういった商福連携を新しく切り開いていくためにも、農産物の販路を増やしてほしいとの要望が障害福祉サービス事業所からありますが、いかがでしょうか。
三点目の質問です。看護師確保対策についてお伺いします。
新型コロナウイルス感染症に伴う医療逼迫が叫ばれております今日でありますが、以前より看護師不足は指摘されておりました。一般病院や診療所に加えて、訪問看護や老人福祉施設など、看護師需要は年々高まっておるところであります。また、新型コロナウイルス感染症に伴う医療逼迫も重なり、看護師不足は見過ごすことのできない大きな問題になっております。看護師は他の一般労働者と比較しても離職率が高いこともあり、必要な数の看護師を確保することが難しいといった話も各方面からいただいております。
日本看護協会が公表した分析結果によりますと、主な退職理由として、他の職場への興味一三・六%、勤務時間の長さ、超過勤務の多さ八%、転居、子育て、結婚、夜勤の負担の多さなどなどが挙げられているところであります。
育児や出産を理由とした退職を減らすことはなかなか難しい部分もありますが、看護師の総数を増やすことで勤務時間や一人一人の負担を減らせる可能性はあると思っておるところであります。
ここでデータを紹介いたします。
医療従事者の需給に関する検討会看護職員需給分科会の中間報告書によりますと、OECD加盟国の人口千人当たりの看護職員については十一人と、OECDの単純平均八人を上回るところであります。OECD加盟国の病床百床当たりの看護職員については八十七人と、OECDの単純平均百八十三人を大きく下回っておるところであります。ただし、これは、日本のベッド数は百六十万床もあり、人口千人当たりの病床数が十三床と多いことも原因の一つと考えられておるところであります。そして、数年後の二〇二五年における看護職員需要推計を百八十八万から二百一万人と推計しております。
今般の看護職員需給推計では、全国単位で見ると、二〇二五年の需給ギャップについては、前提として仮定したワーク・ライフ・バランスの充実度合いにより大きく左右されることに留意が必要であります。都道府県別では、依然として看護職員が総数として不足するところがある一方、看護職員総数が充足されているように見えるところも生じております。しかし、そのように一見看護職員総数が充足されているように見えるところにおいても、領域別には、需給推計バランスを見ると、医療機関では充足されているように見えても、介護保険施設等の介護保険サービスや訪問看護事業所などにおいては不足が見込まれたり、二次医療系などのより小規模単位の地域で見れば、山地や離島などをはじめ、一部の地域においても看護職員が不足することが見込まれておるところであります。
日本看護協会看護統計資料によりますと、二〇一九年の看護職員の就業者総数は百六十八万人、二〇一〇年と比較して二十一万人程度増加しておるところであります。そして、都道府県の月別に見た人口十万人対看護師・准看護師数においては、愛知県は八百五十一人と、全国平均の千三十人を下回る傾向が示されております。ただし、都市圏は全般的に人数が低い傾向もあります。
ところで、看護師免許保持者かつ六十四歳以下で未就業者となる潜在看護師は、二〇一二年時点で七十一万人と推計されております。年はたがえど、二〇一九年の看護師の就業者総数百六十八万人と二〇一二年の潜在の看護師総数七十一万人をプラスして、看護師免許保有者は二百四十万人いるという推計になります。
そこで質問です。
コロナ禍における看護職員の状況について、愛知労働局において看護職員の有効求人倍率は公表しておるのでしょうか。また、それはコロナ発生前と比較して増加しているのか減少しているのか、お伺いしたいと思います。また、ナースセンターによる求人もあるのでしょうか、あった場合には、コロナ発生前と比較して大きな変化は見られますか、質問いたします。
令和三年医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査結果によりますと、学校養成所及び定員数の推移は、大学、三年課程が増加傾向でありましたが、ここ三年は横ばいで推移しております。医師会が運営する看護学校は減少傾向であります。
そこで質問です。
看護師数に関して、都道府県が算定し、これを全国規模で取りまとめた二〇二五年の看護職員に係る需要と供給の推計値算出に当たっては、昨今のワーク・ライフ・バランスの充実度合いは加味されているのでしょうか。また、その概要と看護職員に係る都道府県別の需要と供給の推計はどのようになっているのでしょうか。
次に、看護師の離職率はといいますと、看護師と他の産業との比較においては一七%と、女性の一般労働者一四%と比較しまして、二〇一二年と比較しまして、離職率が高い傾向にもあります。
看護師の業務負担軽減も必要な対策であります。例えば、看護補助者設置加算や看護助手の導入も一つの軽減策であります。その業務は、物品の運搬、部屋の片づけ、ベッドシーツの交換、トイレへの移動など、現在の看護師が看護師の免許を持っていなくてもできる看護師の仕事を減らすことも効果的な対策であります。また、介護士の導入という方法もあります。その場合は、着替え、食事、排せつの介助となります。
介護保険制度がない時代には、病院がその役割を担っておりました。しかし、そのまま病院が役割を担い続けるには、費用負担が多過ぎ、持続不可能ということで、介護保険制度をつくって、費用負担を軽減することで、医療と介護制度を維持する政策と理解しているところであります。それに伴い、看護師は病院のみに必要とされる職種から、介護施設やデイサービスなど幅広い分野においても必要な職種となりました。看護師の病院以外での需要が、看護師不足に拍車をかけておるところであります。
そこで、看護職員数を考える上において、愛知県地域保健医療計画の中では看護師需給推計はどのようになっているのでしょうか。また、コロナ禍により看護師需給動向に変動はあるのかお伺いいたします。予想される看護師不足に対して、愛知県としてどのように対策を考えておるのでしょうか、お伺いしたいと思っております。
これで質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
16:
◯福祉局長(橋本礼子君) 障害者等専用駐車場のマナー問題についてお答えいたします。
障害者など、移動が困難な方が利用する専用駐車場につきましては、住み慣れた地域で安心して暮らしていくための重要なインフラの一つであると考えております。県に対しましても、主に障害のある方からでございますが、専用駐車場に止められないことがあり困っているとの声が寄せられておりまして、マナー向上に向けた普及啓発の必要性について認識しているところでございます。
このため、まずは県有施設におきまして適正な利用が図られるよう、障害者や高齢者、妊婦等のための専用駐車場であることを図やマークで分かりやすく表示するなどの取組を実施しているところであります。
また、今年度は駐車場利用者のマナー向上を図るため、必要のない方が専用駐車場を利用しないように呼びかける啓発ポスターを六千部作成するとともに、県のホームページにおきまして啓発のためのページを設けるなど、広く県民の皆様への普及啓発を図っていくこととしております。特に啓発ポスターは、市町村に働きかけ、県民の目に触れる機会の多い公共施設に掲示していただくほか、障害等への理解が深いヘルプマーク普及パートナー企業の店舗等にも掲示の御協力をお願いするなど、県内各地での様々な施設に掲示することでマナー向上の機運を高めてまいります。
今後も、障害者等専用駐車場の適正な利用が図られるよう、県民の皆様への普及啓発に取り組んでまいります。
次に、農福連携についてお答えいたします。
県では、毎年、福祉的就労の場である就労継続支援事業所を対象といたしまして、農福連携に関するアンケート調査を実施しております。本年四月一日現在で、千十七か所の事業所のうち、農業を実施中は七十三か所で、前年度から二十八か所増えております。また、農業を実施予定は五か所、興味、関心があるは四十二か所であり、農福連携に関する関心が徐々に高まっているものと考えております。
さらに、課題といたしまして、販路が限られていることをはじめ、屋外またはハウス内での作業のため体調管理が難しい、職員の農業に関する専門知識、技術が不足しているとの声が寄せられております。こうしたことから、それぞれの課題に応じて、農業分野と連携して支援を充実してまいりたいと考えております。
次に、販路拡大の取組についてお答えいたします。
障害福祉サービス事業所において生産された農産物や加工品の販路を拡大していくためには、農福連携商品を県民の皆様に実際に手に取ってもらい、商品のよさを知ってもらう取組が大切であると考えております。
そこで、県では、即売会である農福連携マルシェを毎年開催し、農福連携の認知度の向上に努めているところであります。今月四日の日曜日に、円頓寺商店街におきまして、障害福祉サービス事業所や農福連携に取り組む農家で育てていただきました冬野菜やワインなどを販売するとともに、商店街の飲食店で農福連携の野菜などを使ったコラボメニューを提供いたしました。非常に多くの皆様に御参加いただき、楽しんでいただけたものと考えております。
今後とも、広く県民の皆様に農福連携について知っていただき、一人でも多くの障害のある方に農業分野で活躍していただけるよう、着実に取り組んでまいります。
17:
◯農業水産局長(
矢野浩二君) 農福連携についてのお尋ねのうち、農業者と障害福祉サービス事業所とのマッチングの取組と事例紹介についてでございます。
農福連携は、高齢化や担い手不足といった課題を抱える農業分野において、労働力の確保や地域農業の維持に資するだけではなく、地域活性化にもつながる取組であります。国が二〇一九年、農福連携等推進ビジョンを決定したことから、本県におきましても、農福連携を推進するため、様々な相談に対応するワンストップ窓口を設置し、農業と福祉の両分野に詳しいコーディネーターにより丁寧なマッチングを行ってまいりました。その結果、昨年度までの三年間で四十四件のマッチングが成立し、チンゲンサイの植付け作業やミカンの収穫作業などの取組が行われました。
そうした取組事例や農福連携のメリットにつきましては、新たに農業を始める方を対象とした農業研修の中で紹介するとともに、農福連携に興味のある農業者などを対象としたセミナーを開催しPRをしております。研修やセミナーの参加者からは、作業しやすい品目などが分かり、大変参考となったという感想をいただいております。
また、農福連携の優良事例や収穫、箱詰めなどの作業を分かりやすく紹介する動画を作成し、ユーチューブチャンネルを通じて発信するとともに、事例集としてまとめ、市町村や関係機関に配布するなどして啓発に取り組んでおります。
こうした取組を通じまして、農福連携の推進に努めてまいります。
次に、農業版ジョブコーチの育成についてでございます。
農福連携を推進するに当たり、農作業の現場におきまして障害者の方々の作業をサポートするとともに、安全な作業環境や手順などについて農業者にも福祉事業者にも助言することができる人材が必要であることから、本県では、二〇二一年度から農業版ジョブコーチの育成を行っております。
二〇二一年度は、農業総合試験場の職員や農福連携に知見のある講師を招いて、座学と現場での研修を行い、三十六名を育成いたしました。
今年度は、国の育成カリキュラムを活用しまして、eラーニングによる座学と農業大学校や農福連携を実践している現場での研修を行い、十九名が研修を修了しております。
今後も、引き続き、農業版ジョブコーチの育成を進めるとともに、農業者や福祉事業者に対しまして周知を図り、ワンストップ窓口と連携しながら、育成した農業版ジョブコーチを現場で活用していただけるように努めてまいります。
18:
◯保健医療局長(吉田宏君) 看護職員の求人の状況についてでございます。
愛知労働局では、毎月、職業別の職業紹介状況を公表しておりまして、コロナ発生前の二〇一九年から今年までの推移を見ますと、保健師、助産師、看護師の有効求人倍率は、一旦は減少したものの、高止まりが続いている状況でございます。また、愛知県ナースセンターにおいても無料職業紹介事業などを実施しておりまして、有効求人数はコロナ発生前と比較し増加しております。
次に、看護職員に係る需要と供給の推計についてでございます。
二〇二五年における看護職員需給推計では、ワーク・ライフ・バランスの充実を前提に超過勤務時間や有給休暇の取得日数など、労働環境に応じた三つのパターンの推計をしております。
全国の需給推計では、標準的なパターンにおいて、需要百九十万人に対しまして、供給百七十五万人、充足率は九二%となります。都道府県別で見ますと、二十の自治体が充足でございまして、二十七の自治体が不足という推計でございます。
次に、愛知県地域保健医療計画における二〇二五年の看護職員需給推計についてでございます。
本県の需給推計では、需要九万五千人に対しまして、供給八万八千人、充足率は九三%となりまして、全国とおおむね同水準でございます。
看護師職が不足すると推定される理由の一つとして、訪問看護事業所、介護保険サービス分野での需要が大幅に増加することが挙げられます。
新型コロナの影響でございますが、ワクチン接種や疫学調査、宿泊療養施設など、看護需要の急増とそれに伴います潜在看護師の復職の増加が就業の促進につながっていると考えております。
次に、本県における看護師確保対策についてでございます。
まず、看護師を養成する看護師養成所の充実強化のため、養成所の運営費に対しまして助成し、医療技術の高い看護師の育成に寄与しております。
また、訪問看護ステーションを対象に、新たに勤務する職員の研修や訪問先への先輩職員の同行訪問を支援することによりまして、資質の向上を図っております。
さらに、病院内保育所の運営に対する助成や、就業していない看護師へのカムバック研修、愛知県ナースセンターにおける就業相談や無料職業紹介なども実施し、勤務環境の改善や再就業の支援にも取り組んでおります。
今後とも、高度化、多様化する看護ニーズに的確に対応できるよう、資質の向上及び看護職員の確保にしっかり取り組んでまいります。
19: ◯三十八番(
鈴木まさと君) お答えいろいろありがとうございました。ここで二点要望を申し上げます。
農福連携のマッチング率、これを高めるには、仕事を出したい農業と仕事を受けたい障害福祉サービス事業所の互いのデータをたくさん集めることにより、マッチング率をぜひ高めていってほしいと思っておるところであります。
それから、看護師のほうでありますが、自動車産業が大変盛んな西三河地域では、例えばですけれども、長野県出身でもうすぐ定年を迎えるという方がおるとします。親が長野県に住んでおるわけでありますが、定年を迎えると長野に帰って両親の世話をするというライフスタイルから、今日では両親を西三河地域の施設に入れて目の届くところで親の世話をするという、そういうライフスタイルに変わっておると思っております。
ということで、西三河地域においては、従来から住んでおります高齢者にプラスして、この地域に移住して病院や施設に入るという新規需要にも対応していく必要があると考えておるところであります。こういったことにおいても、地域の医療インフラとして看護師確保対策が重要ということで、重ねて要望させていただくことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
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20: ◯四十一番(山田たかお君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
21: ◯副議長(
佐藤一志君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
22: ◯副議長(
佐藤一志君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時四十七分休憩
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午後一時開議
23: ◯議長(須崎かん君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
政木りか議員。
〔三十一番政木りか君登壇〕(拍手)
24: ◯三十一番(政木りか君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大きく四項目について順次質問させていただきます。
初めに、愛知発のイノベーション創出に向けた取組についてお伺いいたします。
本県では、これまで、二〇一八年四月のAichi─Startup推進ネットワーク会議の設立を皮切りに、この地域が引き続き日本の成長エンジンとして我が国の発展をリードしていくために、スタートアップを起爆剤としたイノベーション創出を目指す施策を矢継ぎ早に打ち出されてこられました。この地域を挙げた取組によって、愛知・名古屋及び浜松地域として、二〇二〇年に内閣府の認定する国内四つのスタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市の一つに選ばれるなど、本県は国内先進地域の一つとして存在感を示してきたものと考えます。
国は、去る十一月二十八日に開催された新しい資本主義実現会議において、スタートアップ育成五か年計画を決定し、大きな三つの柱の下に四十九の取組を位置づけて、創業の絶対数とスタートアップの規模の拡大を包含する指標として、スタートアップへの投資額で二〇二七年度に十兆円規模を目標とすることや、さらに、将来においては、ユニコーン百社を含め、スタートアップ十万社を創出することにより、我が国が世界有数のスタートアップ集積地となることを目指すとしております。本県のこれまでの取組は、こうした国を挙げた大きな流れと軌を一にするものであったと考えます。
スタートアップが導くイノベーションを産業構造の転換や経済成長の観点から捉える、いわゆるユニコーン企業に代表されるような文脈に対し、近年、地球環境やエネルギーに関する課題を解決する気候、クライメートテックや、高齢化社会の課題をデジタルやロボットの技術で解決するエイジテックなど、社会問題の解決と企業としての持続的な成長を目指す、いわゆるインパクト領域のスタートアップにも注目が集まるようになっています。
スタートアップ育成五か年計画でも、こうした観点から、社会的起業のエコシステムの整備とインパクト投資の推進が四十九の取組の一つに位置づけられており、また、スタートアップに限らず、こうした領域のビジネスの成長を促す投資の拡大を目指して、金融庁においてインパクト投資等に関する検討会が今年十月に設置されるなど、経済成長や産業の革新を一方の軸に置きつつ、それだけに限らない見方でイノベーションを捉える文脈が広がりつつあります。
ところで、経済の語源は中国の古典に出ている経世済民という言葉の略語で、世を経め民を済うという意味だそうです。この経済という言葉は諸説あるようですが、福沢諭吉氏がエコノミーの訳語として使ったことで、現代のような意味合いが明治時代に広く定着したと言われております。社会におけるあらゆる物事には、経済活動として捉え得る側面があり、経済がうまく運営されれば、社会活動がうまく回り、人々の暮らしが成り立つという本来の意味を織り込んだ実に見事な意訳をなされたと、先人の見識に感心するものであります。
こうしたことを意識してみますと、経済産業局の既存課室にスタートアップ施策の担当グループが置かれた二〇一八年度に始まり、次いでスタートアップ施策を担当する課ができ、本年度にはスタートアップ育成と、既存企業も含めた様々な主体が関わるイノベーションをそれぞれ担当する二課を擁する革新事業創造部が設置され、この五年間については、世の中のあらゆる物事に関わっている経済という言葉の本来の意味合いと、スタートアップやイノベーションで社会の様々な側面にある課題を解決しようという時流から、機能的に動ける組織編成になり、さらなる革新事業がつくり出される体制が整ったことについて、なるほどとうなずけるものがあります。
県政の様々な分野に経済の切り口で関わる経済産業局と、個別分野での切り口で担うそれぞれの局がしっかりと連携して県政をよりよいものにしていただきたいと考えます。
そうしたことを踏まえてみますと、新設された革新事業創造部イノベーション企画課では、本年度の新規施策として、愛知発のイノベーション創出に向け、民間提案を起点として社会課題の解決や地域の活性化を目指す官民連携プロジェクトを生み出す枠組みを定める、革新事業創造戦略をこの十二月に策定される予定となっております。この戦略に基づき、これまでにない革新的なプロジェクトのアイデアやそうしたことに役立ちそうな技術・研究シーズを様々な主体が提案するウェブ上の革新事業創造提案プラットフォームに関しては、現在、戦略策定後の本格運用に先立ち、一部の機能の試行運用が始まっております。
このプラットフォームでは、会員登録をすることで、ほかにどんな企業や大学などが会員登録しているのか、あるいはどんなプロジェクトアイデアや技術・研究シーズを登録しているのかを見ることができ、戦略策定後の本格運用では、アイデアと技術シーズに加え、県においてデータベース化した行政等の支援施策と併せて、相互に親和性のある登録情報のマッチングのサービスも受けられるとのことです。
十月二十七日の試行運用開始からおおむね一月となる十一月末時点で、プラットフォームには、豊田合成株式会社や日本特殊陶業株式会社といった地元大手企業や、名古屋大学のほか、プレ・ステーションAi入居のスタートアップなど、計百三者が会員登録をされており、プロジェクトのアイデアや技術・研究シーズの登録も既に幾つかなされているようであります。
そこでお伺いいたします。
年内に策定される革新事業創造戦略の枠組みにおいては、革新事業創造提案プラットフォームにプロジェクトのアイデアや技術、研究のシーズが数多く提案されることが重要であると考えますが、企業や大学、研究機関に対して、プラットフォームへの参加をどのように働きかけていくのか伺います。
次に、県民の歯科検診について伺います。
一点目、節目検診の歯周病検診票の標準化について、二点目、後期高齢者に対する歯科健診の普及のための取組についてお伺いいたします。
現在、健康増進法で定められている歯周疾患検診、すなわち四十歳、五十歳、六十歳、七十歳の節目で検診する市町村の歯周病検診については、地域保健・健康増進事業報告によりますと、令和二年度(二〇二〇年度)時点で、全国では七五・二%、千三百七市町村の実施率、愛知県では五十三の市町村で実施されています。
歯周疾患検診で用いられる検診票につきましては、各市町村で独自様式となっており、各地区の歯科医師会の先生方をはじめとする関係者の皆様の御協力をいただきながら作られていると聞いております。その内容については、各市町村の歯科保健に関する課題や目標達成度を反映するものになっておりますので、質問項目などが標準化されていない状況であると伺っております。加えて、結婚や出産、転勤などで居住地が変わった場合に、検診状況の一部の情報が引き継ぐことができずに苦労されているという県民からのお話を伺いました。
県全体で考えたときには、検診票の様式が統一化されていたほうが、地域分析や地域間比較が可能となり、健康格差の是正の一助になるかと考えます。
また、統一化ができれば、その統一様式に対応した読み込みのシステムを開発することによってデータベース化が可能となり、県全体の歯科保健データの年次推移などを分析することも容易になるものと考えます。
今後、社会全体がDX化を推進していく中で、歯科保健の分野においてもデータベース化を進める必要性があるものと考えます。特に、県の歯科口腔保健基本計画における成人期、高齢期の指標で、歯周炎を要する者の割合が悪化傾向にありますので、対策を講ずる意味でも、まずは歯周疾患検診の様式の統一化を図る意義は非常に高いと考えております。
そこで質問いたします。
歯周病検診票の標準化について、県のお考えをお伺いいたします。
また、高齢期においては、歯周病だけでなくオーラルフレイルの問題がございます。オーラルフレイルとは、端的に表現すると、口腔の虚弱です。食べる、飲み込むをはじめとする様々な口腔機能が衰えることを指します。
オーラルフレイルについては、二年前の二〇二〇年十一月議会において、コロナ禍における高齢者の口腔機能の低下について質問をさせていただきましたが、なぜオーラルフレイルが問題になるかというと、心身の虚弱であるフレイルに先行して出現すると言われているためです。つまり、オーラルフレイルが現れたときに、放置したり適切な処置を怠ったりしてしまうと、フレイル、ひいては要介護状態へ移行してしまうおそれがあるのです。言い換えますと、オーラルフレイルを早期発見できれば、要介護状態への移行を防ぐことができる可能性があると言えます。
オーラルフレイルは、平成二十五年度厚生労働省老人保健健康増進等事業の調査研究事業において、国立長寿医療研究センターから提唱された比較的新しい概念です。また、平成三十年度診療報酬改定では、口腔機能低下症という病名が新たにレセプトで使用可能となり、オーラルフレイルが進行し、歯科医療機関で対応が必要となった場合は、保険で診療を受けられるようになりました。このように、オーラルフレイル対策は、介護予防の一環で、国を挙げて取り組むべき施策の一つになっております。
オーラルフレイルは、食べこぼし、僅かなむせ、かめない食品が増えるなど、患者さん自身による気づきによって早期発見につながることがありますが、まだ県民の皆様の認知度は十分とは言えない状況です。
また、普及啓発と並行して、オーラルフレイルを早期発見できる歯科保健体制の整備も重要であると考えています。
かかりつけの歯科医院があれば、オーラルフレイルのスクリーニングを行うことが可能です。しかし、全ての県民の皆様がかかりつけの歯科医院を持っているわけではないので、そのような方々のオーラルフレイルを早めに見つけるために有効な手段として、市町村で実施する後期高齢者歯科健診が挙げられます。後期高齢者歯科健診において、口腔機能評価のスクリーニングをすることで、歯科医院あるいは専門の医療機関等への適切な受診勧奨ができれば、フレイルや要介護状態への移行を予防することにつながると考えます。
しかしながら、後期高齢者歯科健診を実施していても、口腔機能評価を健診項目に入れている市町村は、令和四年度時点でまだ十市町にとどまっております。少しずつ口腔機能評価を導入する市町村は増えてきてはいますが、まだ十分とは言い難い状況であると考えます。
今後、高齢者はますます増えていくと言われておりますので、オーラルフレイル対策によって介護予防につなげていく意義は極めて大きいものと考えております。
そこで質問いたします。
後期高齢者に対する歯科健診の普及のための県の取組について伺います。
次に、パラアスリートを活用した障害者スポーツの推進について伺います。
現在開催中のサッカーのワールドカップの盛り上がり方を見ますと、スポーツは国民が無条件で一つになれる大変重要なツールとなっていると感じているところであります。この二週間ほどは、きっと皆さんの中にも、深夜起きてテレビ観戦された方もいらっしゃったのではないでしょうか。
昨年八月に開催された東京二〇二〇パラリンピックでは、日本選手が金十三個を含む五十一個のメダルを獲得するすばらしい活躍で、日本中を大いに盛り上げてくれました。
東京都が今年一月に公表した大会後の都民意識調査によりますと、大会を見た人の割合は四割を超えており、その開催効果として、障害者への理解促進が最も多く挙げられたとのことであり、困難を乗り越えて世界に挑むパラアスリートの姿が人々に与える影響の大きさを改めて感じました。
東京二〇二〇パラリンピックには、銀メダルを獲得したボッチャの河本圭亮選手や車椅子バスケットボールの宮島徹也選手、銅メダルを獲得したパラ陸上競技の大島健吾選手やパラバドミントンの伊藤則子選手をはじめ、十六名の愛知ゆかりの選手が出場いたしました。
また、二〇一八年にインドネシアのジャカルタで開催された第三回アジアパラ競技大会には、金メダルを獲得したパラ陸上競技の田中照代選手、佐藤圭太選手、蒔田沙弥香選手、銀メダルを獲得したパラ陸上競技の山本萌恵子選手、銅メダルを獲得したパワーリフティングの大堂秀樹選手やパラ卓球の八木克勝選手をはじめ、十五名の愛知ゆかりの選手が出場しており、このほかにもデフリンピックや世界選手権など、世界の舞台で活躍する愛知ゆかりのパラアスリートは数多くお見えになります。
愛知県では、こうした国際大会で活躍できる地元出身のアスリートを発掘し、将来に向けて育てていくため、二〇一九年度にあいちトップアスリートアカデミーを立ち上げるとともに、昨年度にはパラアスリート部門を設け、障害のある子供たちや事故等で障害を負ったアスリートも世界へ挑む新たな扉を開きました。
パラアスリート部門では、昨年度は六名、今年度は九名がアカデミー生として選考され、世界の舞台を目指し、競技団体による専門的な指導を受けていると伺いました。
そんな中、先日、三重県の御出身で、現在は愛知県に在住し、本県を中心に活動されている義足ランナーの井谷俊介選手からお話を伺う機会がありました。井谷選手は、十九歳のときに交通事故で右脚の膝から下を失った後、パラ陸上競技と出会い、二〇一八年のアジアパラ競技大会で金メダルを獲得するなど、数々の国際大会ですばらしい成績を残されておりますが、競技生活の傍らで、小学校などを訪れ、自身の経験を踏まえた講演や駆けっこ教室などを通じて、障害者スポーツの普及にも取り組んでおられるとのことでした。
このように、スポーツと出会い、世界への挑戦を続けることで、自らが得ることのできた不屈の精神や不断の努力をより多くの人々へと伝え、人生の役に立ててほしいと願うパラアスリートは多いと思います。
ここ愛知・名古屋で開催する二〇二六年アジアパラ競技大会を四年後に控え、パラアスリートを目指す子供たちの背中を押すとともに、より多くの県民の皆様に障害者スポーツを知っていただくためには、こうした愛知ゆかりのパラアスリートの力をお借りすることが大変有効であると考えます。
そこでお尋ねいたします。
障害者スポーツのより一層の推進に向けて、県として愛知ゆかりのパラアスリートを活用した取組をどのように進めていくのか、お伺いいたします。
最後に、若手教員の心の病の増加への対策についてお尋ねいたします。
子供たちの健やかな成長のためには、その学びを支える先生方が健康であることも重要な要素であることは言うまでもありません。
しかしながら、二〇二〇年度の文部科学省の調査では、教員の病気休職者は全国で年間七千六百人以上、そのうち五千百八十人が精神疾患によるものとされ、大変危惧するところであります。
さらに、最近では二十代教員の心の病が増加しているとの新聞報道がありました。この報道によりますと、文部科学省の調査では、二〇二〇年度において一か月以上心の病を原因として休んだ二十代の公立学校教員は二千百四十人に上っており、これは二十代の教員の在職者全体の一・四三%に当たるとのことです。また、二〇一六年度と比較しますと、全国で精神疾患を理由に一か月以上休んだ二十代教員は、同年代の在職者に占める割合がこの五年で〇・九一%から一・四三%となり、一・五倍に増加しているとのことです。
教員を志した若者が、教育現場で経験を積んでいく大切な過程において、全国で二千人を超える教員の心が病を患い、一時的であれ、学校現場から離れなければならないという現実は、心が痛む問題であり、教育にとって大きな損失であります。
若い教員であっても、学級担任として保護者の対応をしたり、業務が集中したりすることもあります。その一方で、ベテラン教員が少なく、相談する機会が減っていることや管理職も若手をケアする余裕がないことも伺います。業務量が減ることのない教育現場において、心も体も余裕がなくなりながらも、代わりがおらず、仕事を抱え込んでしまっている教員が増えているのではないでしょうか。
さらには、最近の若者は、打たれ弱く、自分の悩みを抱え込んでしまう傾向があると思われますので、個人の悩みを吸い上げるような対策が必要であると考えます。
そこで伺います。
心の病で一か月以上休んでいる二十代教員が全国的に多くなっているとのことでありますが、愛知県の若手教員の状況はどのようになっているのか、また、教員の心の病の予防に対してどのような対策を行ってきたのか、お伺いします。
特に、若手教員が心の病にならないように、より踏み込んだ新たなメンタルヘルス対策やストレスがかからないような働きやすい環境づくりが必要であると考えられますが、県としてどのように対応していかれるのか、お伺いします。
以上で、壇上からの質問とさせていただきます。(拍手)
25: ◯経済産業局長(矢野剛史君) 革新事業創造戦略は、民間提案を起点に社会課題の解決と地域活性化を図るプロジェクトの創出を目指し、この十二月末に策定することとしております。
そして、この戦略を土台といたしまして、革新事業創造提案プラットフォームにおいては、企業や大学、研究機関等、幅広い主体から革新的なプロジェクトなどの提案を受け付け、有識者で構成いたします革新事業戦略会議の助言の下、優れた提案を抽出し、県関係課室と提案者等で構成いたしますワーキンググループを立ち上げまして、提案の具体化を図っていくこととしております。
この戦略では、外部からいかに多くの提案をいただけるかということが重要であります。そのため、Aichi─Startup推進ネットワーク会議やあいちDX推進コンソーシアムをはじめといたしまして、県が設置をいたします産業振興やイノベーション創出に関わる様々な協議会の会員、構成員など、既に延べ二万者を超える企業、団体等に活用を呼びかけております。
また、中部経済連合会や名古屋商工会議所をはじめといたします経済団体や県内金融機関、あるいは東海地区の十八の大学が加盟いたします起業家育成プロジェクト、トンガリの実施校にも働きかけを行っているところでございます。
さらに、職員自らが直接、対面でプラットフォームの活用を呼びかけるべく、去る十一月に開催をされました日本最大級の異業種交流会メッセナゴヤ二〇二二におきましても、会場であるポートメッセなごやにイノベーション企画課職員が赴きまして、百社を超える企業ブースを訪問して周知を図ったほか、中部経済産業局が主催いたしますオープンイノベーションイベントにおいて、革新事業創造戦略についてプレゼンテーションを実施するなど、積極的に取組を進めています。
こうした取組を通じまして、革新事業創造提案プラットフォームがオープンイノベーションの苗床として広く認知され、優れたプロジェクトのアイデアや先進的な技術・研究シーズが数多く提案されることにより、愛知発のイノベーションを巻き起こすことができるように全力を挙げて取り組んでまいります。
26:
◯保健医療局長(吉田宏君) 初めに、歯周病検診票の標準化についてお答えいたします。
歯周病検診の検診票は各市町村で異なった様式を用いており、これを標準化することは、検診データを用いた地域分析や地域間比較が容易になり、大変有用であると考えております。
一方で、検診票の標準化は、市町村とのきめ細やかな調整やシステム改修費等の課題もございます。
県では、県内のどの地域においても質の高い歯周病検診が実施できるよう、昨年度、愛知県歯科医師会など関係団体の御協力を得ましてウエルネス八〇二〇のための歯周病検診ハンドブックを作成いたしまして、市町村や県内の歯科医療機関で御活用いただいております。
また、厚生労働省では、現在、歯周病検診マニュアルの見直しとともに、検診票の標準化についての議論を行っております。
今後、県におきましても、検診票の標準化に向け、国の動向を注視しつつ、歯科医師会、市町村職員などから構成されます愛知県健康づくり推進協議会歯科口腔保健対策部会においてしっかり協議してまいります。
次に、後期高齢者歯科健診についてでございます。
フレイル予防及び介護予防の観点から、後期高齢者歯科健診において、オーラルフレイルの早期発見を目的としました口腔機能評価を行うことは大変重要なことであると考えております。
一方、現在、後期高齢者歯科健診において、県内では十市町が口腔機能評価を導入しておりますが、さらなる導入の推進と県民への普及啓発が課題でございます。
県では、今年度より、愛知県歯科医師会に委託し、高齢者口腔機能評価推進事業を実施しております。この事業では、主に市町村を対象とした後期高齢者歯科健診の導入支援のための研修や、歯科医療関係者を対象とした口腔機能評価の技術研修を実施するほか、保健指導の標準化を図るための手引書を作成してまいります。
また、保健所では、市町村の保健や介護関係者と連携し、オーラルフレイル対策の強化に向けまして、口腔機能評価の導入を支援するとともに、効果的な普及啓発についても協議を行っております。
今後も、これらの事業を継続して実施し、県民の皆様の健康と快適な生活の基盤となります歯と口の健康づくりにしっかりと取り組んでまいります。
27: ◯スポーツ局長(成瀬一浩君) 次に、パラアスリートを活用した障害者スポーツの推進についてお答えいたします。
世界の舞台で活躍するパラアスリートの姿を間近で見ることや、パラアスリートとしての経験や心構えを直に聞くことは、パラアスリートを目指す子供たちに目標の位置づけに向けた大きな力を与えるだけでなく、多くの人々に障害者スポーツの魅力を伝える絶好の機会となります。
本県では、あいちトップアスリートアカデミーにパラアスリート部門を設置し、地元出身のパラアスリートの育成に取り組んでおりますが、開講式と修了式では、本県ゆかりのパラリンピアンによる講演会も実施しており、アカデミー生が世界で活躍するための心と体づくりなどを学ぶ貴重な機会となっております。
また、県内の各地域で、パラ陸上競技やパラ卓球、ボッチャなどの体験会を開催しており、本県ゆかりのパラアスリートから実技指導などの協力をいただいております。
来年二月には、より多くの県民の皆様に障害者スポーツを知っていただけるような様々な障害者スポーツの体験やパラアスリートのトークショーなどを同時に楽しめる体験・交流イベント、あいちパラスポパークも開催します。
今後とも、パラアスリートの高い指導力や発信力を活用しながらこうした機会を一層充実させ、地元出身のパラアスリートの育成や障害者スポーツの普及に全力で取り組んでまいります。
28: ◯教育長(飯田靖君) 若手教員の心の病の状況と対策についてお答えをいたします。
初めに、愛知県の若手教員の状況でございますが、二〇二〇年度に精神疾患により一か月以上休んだ本県の公立学校の二十代の教員は百五十人であり、同年代の教員の一・六二%でございます。また、三十代は百八十九人、一・四七%となっております。その人数は、二〇一六年度と比較をいたしますと、約一・八倍に増加をしておりまして、また、全世代の平均の一・四二%を上回っております。
次に、これまでの教員の心の病の予防策でございますが、県立学校と小中学校では、全ての教員を対象にストレスチェックを行っておりまして、高ストレス者と判定をされた教員には、学校の保健師や衛生管理医が希望者に面接指導を行っております。しかしながら、学校現場での面接のため、希望する教員は一部にとどまっておりまして、潜在的なメンタル不調者への対応が不十分となっております。
また、校長などの管理職が教員との様々な面談を利用して悩みなどを聴取する、いわゆるラインケアを行っております。
そして、今年度から、保健師が高ストレス者の多い県立学校を巡回して、管理職による若手職員のフォローの仕方について直接に指導をするなどの取組も行っております。
また、全ての公立学校教員が加入をする公立学校共済組合では、希望者が精神科医によるカウンセリングを受けられる事業を行っております。
次に、今後の対応についてでございますが、二十代と三十代の若手教員が心の病になる比率が高く、増加傾向にもあることから、特に若手教員の潜在的なメンタル不調者へのより踏み込んだ対策と一層の働き方改革の推進が必要であると考えております。
そこで、高ストレス者と判定をされた若手教員に、保健師がプライバシーに配慮をしつつ、メンタルクリニックで専門医のカウンセリングを受けるよう直接に連絡をし、確実に受診につなげる事業として、こころの人間ドックを新たに構築してまいります。こころの人間ドックは市町村にもぜひ実施をしてもらいたいと考えておりますので、市町村に促してもまいります。
あわせて、公立学校共済組合のカウンセリング事業も募集人員を拡大してまいります。
さらに、教員が心身ともに健康で、子供たち一人一人と向き合うことができる、働きやすい職場環境づくりには、外部人材を活用することが有効であることから、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ICT支援員などの専門的な支援スタッフの拡充を検討し、学校における働き方改革をさらに進めてまいりたいと考えております。
こうした取組により、子供たちの健やかな成長のために、これからの愛知の教育を担う若手教員が心に余裕を持ちながら子供たちとしっかりと向き合える環境を整えてまいります。
29: ◯三十一番(政木りか君) それぞれ御答弁をいただきましたが、一点だけ若手教員の心の病について要望させていただきます。
若手教員の心の病については、小さな心の引っかかりや積み重なる様々な業務が処理できずに、個々の教員の負担になっていることが原因になっているということがうかがえます。そのような状況が少しでも見受けられたときには、職場において、メンタル不調を相談しやすい雰囲気づくりや、こころの人間ドックを受診しやすい環境づくりを積極的に行っていただきたいと思います。
人間ドックというと、通常年一回ですけれども、一回と言わず、調子がおかしければその都度受けられるようにしていっていただくよう要望させていただくとともに、子供たちを教育する教員の心の健康が、少子化社会における大切な子供たちの健やかな成長につながるものと考えておりますので、教員が仕事を休まなければならないような状態になる前に、代行できるところは外部委託や業務分担するなど、周りがサポートできるような対策も積極的に行っていただきますよう要望して、発言を終わります。
30: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。
杉江繁樹議員。
〔十番杉江繁樹君登壇〕(拍手)
31: ◯十番(杉江繁樹君) それでは、通告に従い、大きく三項目について質問をさせていただきます。
一つ目の質問は、中部国際空港セントレアについてでございます。
中部国際空港セントレアは、愛知万博、愛・地球博が開催された二〇〇五年の二月十七日に開港しました。その年は、一月にはアメリカでブッシュ大統領が二期目の大統領に就任し、日本では、九月に衆議院議員総選挙が行われ、その後、郵政民営化関連法案が成立するなど、世の中が大きく変化した年でもありました。
開港後、国際拠点空港として、中部の空の玄関口として、航空輸送発展の一翼を担ってきました。しかし、以前にも述べましたが、その道のりは平たんなものではありませんでした。
開港の二〇〇五年度は、愛知万博、愛・地球博の追い風もあり、国際線、国内線を合わせ千二百三十五万人の総旅客数を記録しましたが、翌年からは伸び悩み、二〇〇八年リーマンショック、二〇一〇年のJALの破綻、二〇一一年東日本大震災など、多くの痛手を受けてきました。
ですが、愛知県をはじめ、地域の皆様の協力と中部国際空港会社の努力、そして二〇二〇年に四千万人のインバウンド客を呼び込むことを目標に挙げた観光庁が取り組まれたインバウンド政策により、少しずつ旅客数を増やしていき、二〇一九年度には過去最高の千二百六十万人を記録することができました。
空港に関係した施設としても、ボーイング787の初号機を展示した複合商業施設のフライト・オブ・ドリームズを整備し、LCC向けに新しく第二ターミナルを新設するなど、増加する航空需要に対応できるようにしましたし、空港島内には、愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポが建設され、国際会議や国際見本市などにも対応できるようになり、空港の機能をより発揮できる状況になりました。
まさに、さらに飛躍していこうとしたときに、新型コロナウイルス感染症禍に見舞われました。二〇一九年十二月に中国で初めて報告された新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中に広がり、今までの世界の状況を一変させてしまいました。
感染症の広がりを防ぐために、人々の流れや接触が抑えられ、日本では二〇二〇年四月七日に全国に緊急事態宣言が発出されました。人々の行動は制限され、日本を含め世界各国が出入国に制限をかけ、渡航禁止地域も拡大したこともあり、二〇二〇年四月には開港以来国際線がゼロ便という状況になってしまいました。その当時、私も空港を訪れましたが、明かりの消えた国際線のフロアと、ほんの少しだけ人がいる国内線のフロアの状況を拝見して、とても寂しい思いをしました。
そんな状況での最大のショックは、エアアジア・ジャパンの破産でした。エアアジア・ジャパンは、中部国際空港を本拠地とする唯一の航空会社で、その社員の皆さんも多く常滑市に在住されてみえたため、この破産により常滑市の人口も減少するなど、地元にも少なからず影響が出ました。コロナ禍の支援策として、愛知県をはじめ、常滑市や近隣市町も、空港関係の職員を一時雇用していただくなど、様々な支援をしていただきました。
あれから今日まで新型コロナウイルスとの闘いは続いていますが、感染対策方法の浸透やワクチン接種、ウイルスの変異など、いろいろな要因もあり、現在ではウイズコロナの考え方も理解が進んできたと思います。
中部国際空港の復便も徐々に進んできており、先月十八日の記者会見を報じた新聞によると、国内線の旅客数はコロナ禍前の七割程度に回復したと報じられています。私も機会あるごとに飛行機を利用してきましたが、国内線の利用者は増えてきていると実感しています。
そして、何といっても明るいニュースは、昨年十二月の中部国際空港の将来構想の発表です。
これは、二〇二一年五月に、空港の西側隣接地等に新たな埋立地を整備する中部国際空港沖公有水面埋立事業の埋立てが承認され、空港を取り巻く環境が変化することを踏まえて、地域の関係者で二〇二一年七月に設置された中部国際空港将来構想推進調整会議がまとめたものです。この構想には、中部国際空港の滑走路に関する課題がまとめられており、二本目の滑走路の必要性が詳しく述べられています。私たちとしては、この構想が着実に進められていくように協力していくことが大切だと思っています。
ここで話は変わりますが、私は本年十月三十一日からの
愛知県議会イスラエル国訪問団の一員として参加をさせていただきました。私個人としては、訪問団の本来の調査項目に加えて、空港を利用し体験することで、その状況を調査する目的を持っておりました。
国内では、出発の成田国際空港と到着の関西国際空港を、海外では、経由地のドバイ国際空港、目的地のイスラエルのテルアビブにあるベングリオン国際空港の四つの空港を体験することができました。
ドバイ国際空港は言うまでもなく世界最大規模のハブ空港で、シンガポール・チャンギ国際空港と並ぶアジア、オセアニアとヨーロッパをつなぐ国際線の乗り継ぎ拠点であります。早朝や深夜の乗り継ぎでしたが、空港内は多くの乗り継ぎ客で混雑しており、本当に二十四時間眠らない空港だと思いました。
そして、目的地のイスラエル・テルアビブのベングリオン国際空港は、到着と出発の両方を体験しましたが、空港内の人の数は多く、コロナ前の活気が戻ってきているのを感じました。特徴としては、セキュリティーがとても厳しく、空港での所要時間は非常にかかるという印象でした。
これは本当に余談なことですが、この空港は、ちょうど五十年前に、自称アラブ赤軍と名のる日本人のテロリストにより乱射事件が起こった空港でございます。しかし、現在は日本人に対して非常に友好的に感じました。
そして、出発の成田国際空港では、二十二時三十分発の便でしたが、混雑した感じはなく、商業施設も営業時間を終えて閉店しているなど、日本を代表する国際空港にしては少し寂しさを感じました。これもまだコロナの影響を大きく受けている現実だと思います。水際対策が緩和される前の少し古い八月の状況ですが、二〇一九年同月比で成田空港の国際線旅客便回復率は三九%という記事がありましたので、まだ一〇〇%回復までの先は長いと感じます。
最後に、到着した関西国際空港ですが、ここは視点を変えて、入国の水際対策の緩和を体験しました。
現在、日本では、入国、帰国をスムーズに行うために、ビジットジャパンウェブという入国手続オンラインサービスを行っています。あらかじめアカウントを作成し、利用者情報など必要な情報を登録して、QRコードを取得して入国するという方法です。私たち訪問団もこの方法で入国をしました。このようにデジタル化が進み、より多くの方が日本に訪れてくれることを願います。
とにかく、どの空港を見ても思ったことは、中部国際空港はまだまだコロナからの回復が遅れているということです。
飛行機好きの私は、飛行機に乗る以外も、地元にある中部国際空港によく足を運びます。これは議員になる前からです。そして、その時々の状況を見てきました。開港時からリーマンショックを乗り越えて、徐々に旅客数を増やしているとき、インバウンドが旺盛で、とても混雑した状況のとき、そしてコロナで国際線がなくなったとき、そして今徐々に回復しようとしているときです。この十月三十日から第二ターミナルで国際線の運航がやっと再開しました。とてもうれしいニュースです。
ここまでの愛知県をはじめ関係者の皆様の御労苦に対し、本当に感謝を申し上げます。
しかし、どうしてもコロナ前のように中部国際空港が復活するには、国際線の本格的な復便が必要不可欠と考えます。
そこでお尋ねいたします。
中部国際空港における減便、運休した国際線の復便の状況及び県は国際線の早期回復に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
次に、二つ目の質問でございます。
二つ目の質問は、来年十一月に愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポで開催される二〇二三年度技能五輪全国大会、全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)に向けた取組についてでございます。これは、先日、知事の提案理由説明にもありましたが、地元で開催されますので質問させていただきます。
先月、千葉県で開催された今年度の技能五輪全国大会・全国アビリンピックでは、愛知県はともに全国最多の選手数、技能五輪百七十五名、アビリンピック二十一名を擁し、メダル獲得数は技能五輪で七十八個、アビリンピックで十二個と、いずれも全国最多となっております。中でも、技能五輪全国大会では、十八年連続最優秀技能選手団賞を獲得するなど、モノづくり愛知の名を全国に轟かせたところでございます。
技能五輪全国大会・全国アビリンピックについては、二〇一九年八月にオープンした常滑市にあるアイチ・スカイ・エキスポにおいて、二〇一九年、二〇二〇年と二年連続で開催されました。
二〇一九年の大会には、私自身も見学させていただきましたが、十八万人を超える多くの方が来場され、選手の皆さんの真剣な競技を間近で見ていたことを思い出します。その中で、特に小中学生、高校生の見学者が多くいたことが強く印象に残っております。また、選手の真剣に取り組む姿、小中学生に解説を行う高校生、立派な開会式、閉会式などのセレモニー、屋外を含め会場全部を使った大規模な大会であり、新しくできた愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポの機能を十分に実感することができて、大いに感動したところであります。
日頃から、常滑市の伊藤辰矢市長は、市内の子供たちに本物を見せてあげたいとの思いを持っており、その働きかけで、常滑市からも三和小学校の五、六年生、西浦南小学校の六年生の児童が大会を見学させていただきました。
常滑市に限らず、見学した子供たちからは、将来の進路を考える参考となった、選手の全力の姿に感動した、障害のある人でもすばらしい能力があることを知りましたなどの声があったとお聞きしております。子供たちは、全国トップレベルの技能を見ることができて、多くの感動を受けることができたと思います。
また、常滑市内の子供たちにとっては、自分の地元でこのような全国大会が開催されること、そして、その会場になっているアイチ・スカイ・エキスポが常滑市に存在することを実感できたとすれば、郷土を誇りに感じたと思います。
残念ながら、二〇二〇年の同大会は新型コロナウイルス感染症の影響で無観客での開催となり、とても残念に思っておりましたが、来年二〇二三年十一月にも技能五輪全国大会・全国アビリンピックが本県で開催されるとのことであります。今回は愛知県は主催者ではないとのことですが、二〇一九年の大会と同じように、県としても積極的にこの機会を活用し、多くの子供たちに見学に来ていただけるよう取り組んでいただきたいと思っております。
愛知県のモノづくりを支えているのは人であり、例えば技能五輪出場選手のような若い技能者が切磋琢磨している、そういった伝統、気質を次世代につなげているからこそと考えます。
このすばらしい大会を多くの方に知っていただき、人材育成の観点からも取組を進めることは大切だと考えます。
また、二〇一九年の大会のときにも見られた光景で、出場選手や関係者の皆さんが常滑駅周辺のホテルを利用し、飲食店に入っていく姿を目にしました。地域経済活性化の観点からも大変喜ばしいことであります。時間の余裕をつくっていただき、今年の国際芸術祭の会場にもなったやきもの散歩道など、常滑市の観光地に足を伸ばしていただければさらに幸いに思います。
全国から愛知県に訪れる多くの選手、関係者をお迎えするためにも、地元として大いに盛り上げていく必要があると考えます。
そこでお尋ねいたします。
来年十一月に開催される技能五輪全国大会・全国アビリンピックを盛り上げていくため、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
次に、三つ目の質問でございます。
三つ目の質問は、社会的養護下にある子供の権利擁護についてお伺いいたします。
保護者の病気や死亡、あるいは保護者からの虐待など、様々な事情により親元を離れて一時的にまたは長期間、施設や里親の下で暮らさざるを得ない子供たちがいます。こうした、いわゆる社会的養護下にある子供たちが、今年の四月一日の時点で、児童養護施設と里親を合わせて名古屋市を除く県内に千人程度いると聞いておりますが、施設では多くの子供たちが集団で生活しており、また、里親では他人の家庭で生活することになりますので、どうしても親元で暮らす子供たちに比べて制約を受けやすい、あるいはそう感じてしまいがちなのではないかと思います。
多くの場合、家庭の事情によりやむを得ず親元を離れて生活している状況であることを考えれば、施設の職員さんや里親さんがどれほど丁寧に関わっていても、ここで生活するしかないんだとの思いから、気兼ねして言いたいことが言えないという子供も少なくないのではないでしょうか。例えば、親に会いたい、家に帰りたいと思っていても、ほかの子供の手前であったり、子供なりに事情を察したりして言い出せなかったり、進学のことや将来の夢などについて相談したいと思っていても、金銭面での遠慮などからどうしても切り出せないということもあるかもしれません。
こうした中、本年六月に成立した改正児童福祉法においては、一時保護や施設入所の措置を決定する際に、子供の最善の利益を考慮しつつ、子供本人の意見や意向を勘案して措置を行うために、子供から意見聴取を行うことが法律で明記されました。
児童相談センターでは、これまでも措置に当たって、子供からしっかり意見を聞くよう取り組んでいただいていると承知していますが、法改正を踏まえ、子供にとって最もよい支援を考える上で、子供たちの意向を酌み取ることができるよう、より丁寧な取組が必要だと考えております。
また、新たな取組として、都道府県において社会的養護下にある子供の意見聴取に向けた環境整備を行うことが定められ、二〇二四年四月一日に施行されることとなりました。具体的には、児童相談センターが行う入所措置や施設における処遇等について、子供と児童相談センターや施設等との意見が異なる場合に、子供自身から寄せられた意見について、都道府県の児童福祉審議会等において、児童相談所とは別の立場から調査、審議を行い、県に対して意見具申がなされる仕組みの整備が求められています。さらには、子供に寄り添って、子供が自身の思いを意見として表明することができるよう、都道府県において意見表明の支援に努めることとされております。
私は、以前、常滑市内で児童養護施設を運営している社会福祉法人の関係者の方とお話をさせていただく機会がありましたが、そのときにお聞きしたのは、これから社会の変化により、地域社会が全体で守らなければいけない子供たちは増えていくとおっしゃっていました。そして、少子化の中、社会全体で子供を育てることが大切だとも言ってみえました。今回の法改正も、社会的養護下にある子供たちにとっては、とても大切なことと考えます。
そこでお尋ねいたします。
社会的養護下にある子供の意見聴取等の仕組みの整備に向け、現在県としてどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
それぞれに答弁を求め、質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
32: ◯都市・交通局長(金田学君) 中部国際空港における国際線の復便の状況と早期回復に向けた取組についてお答えします。
まず、国際線の便数につきましては、コロナ禍前には約四割を占めていた中国便が再開しないことなどから、今月一日時点で週七十便となっており、コロナ禍前の二〇一九年十二月時点の週四百五十九便と比較すると約一五%で、いまだに低い水準となっております。
一方で、特に本年度に入り、新型コロナウイルスの水際対策の大幅な緩和などにより、四月一日時点の週二十二便からは大幅に増えており、さらに、今月中にはベトナム航空のハノイ便とホーチミン便やアシアナ航空のソウル便が増便するなど、回復の兆しが見え始めているところです。
このような中、本県では、国際線の早期回復に向け、本年八月に知事からシンガポール航空へ路線の増便を要請するなど、航空会社へ直接働きかけるエアポートセールスを再開したところであり、今後も積極的に実施してまいります。
さらに、三県一市、地元経済界及び中部国際空港会社で構成する中部国際空港利用促進協議会を中心に、海外の旅行会社、メディア、若者へ情報発信力のあるブロガーなどを招聘するツアーを実施するとともに、新たに中部地域の観光資源を外国語で紹介する動画をSNSで配信するなど、誘客促進の取組を行っているところです。
今後も引き続き関係者一丸となって、中部国際空港の国際線の早期回復に向け、しっかりと取り組んでまいります。
33: ◯労働局長(日高啓視君) 二〇二三年度技能五輪全国大会・全国アビリンピックに向けた取組についてであります。
本県は、技能五輪全国大会で圧倒的な強さを誇るとともに、全国アビリンピックでも優秀な成績を収めており、来年度、アイチ・スカイ・エキスポを主会場として開催されることは、多くの県民、中でも未来を担う子供たちに技能のすばらしさを知って感じてもらう絶好の機会になるものと考えております。
このため、県民の理解・認知度向上を図る取組として、十一月二十六日に今年度の全国大会で活躍した選手によるトークショーや競技の模擬体験、モノづくり体験コーナーを内容とした大会一年前イベントを開催しました。多くの子供たちにモノづくり体験を楽しんでいただくとともに、来場者に技能五輪やアビリンピックの競技を身近に感じていただくことができました。
また、県内の工業系や農業系の高校生、特別支援学校高等部の生徒を対象に、技能五輪・アビリンピックの出場選手や参加企業を講師とする出前講座を開催し、技能五輪・アビリンピックへの関心を高め、将来、大会出場を目指す若者の裾野を広げる取組を進めているところです。
さらに、来年度の大会本番に向けて、県ホームページやSNSの活用、各種イベントでのPRなど、広報活動を一層充実させるとともに、教育委員会や市町村にも働きかけ、小中学生や高校生の来場促進を図ってまいります。
全国から来られる選手、関係者の皆様に、本県の魅力を感じていただけるよう、地元として積極的に大会を盛り上げてまいりたいと考えております。
34:
◯福祉局長(橋本礼子君) 社会的養護下にある子供の権利擁護についてお答えいたします。
様々な事情により親元を離れ、児童養護施設や里親の下で暮らす子供たちが、生活の中での悩みや希望を率直に述べることができ、また、その思いを周辺の大人がきちんと受け止める環境を整えることは、子供の権利を守る上で非常に重要であると認識しております。
そのため、県ではこれまでも、不満や不安を直接児童相談センターに伝えることができるミニレターや、権利の意味や侵害された際の相談先等を掲載した子どもの権利ノートを配布するなどの支援を行ってまいりました。
新たな取組として、子供の意見聴取等の仕組みを検討するため、今年度、学識経験者や弁護士、児童養護施設、里親等の関係者を構成員とする有識者会議を立ち上げ、子供への意見の聞き方やその意見に関する調査、審議の進め方、子供への結果の伝え方などについて議論を進めているところでございます。また、あわせて、ミニレターや子どもの権利ノートの改訂につきましても、検討してまいりたいと考えております。
国においては、現在、意見聴取等の仕組みを具体化するガイドラインの作成が進められておりますので、その内容も踏まえつつ、改正児童福祉法が施行されます二〇二四年四月に向けまして、着実に準備を進めてまいります。
35: ◯知事(
大村秀章君) 杉江繁樹議員の質問のうち、二〇二三年度技能五輪全国大会・全国アビリンピックに向けた取組について、私からもお答えをいたします。
技能五輪全国大会・全国アビリンピックの本県での開催につきましては、二〇一四年、二〇一九年、二〇二〇年に続き、来年の二〇二三年と、この十年間で四回目ということになります。
本県は、十八年連続で最優秀技能選手団賞を受賞、すなわち全国一を続けている技能王国でありまして、アイチ・スカイ・エキスポでの開催もオープンして五年間で三回目となります。ということで、まさに技能者の甲子園と呼ぶにふさわしいのではないかというふうに考えております。
それと、参加選手も技能五輪だと千二百人ぐらい参加すると大体二百人強は愛知県の選手でございますし、中部、関西を入れれば大体半分近く、関東より圧倒的に多いので、別に東京周辺でやらんでもええではないかと。別に高校野球も東京でやっていませんからね、甲子園というのは。ということで、厚労省には強く言っております。とにかく、技能といえば愛知でやってくれということを申し入れているところでございます。
その中で、例えばコロナ前の二〇一九年の大会では、記憶に新しいと思いますが、実質二日間、土日で十八万七千四百七十人の来場者がありまして、空港島のスカイ・エキスポは、表も外も、中も外もあふれ返ったと、若い人で、ということもございました。そして、学校やクラス単位で見学に来られた小中学生、高校生をはじめ多くの子供たちが、身近に目を輝かせながら競技に見入っていたのが印象的でありました。
本県には、モノづくりや技能を尊重し大事にする風土があり、その伝統を次の世代にきちんと伝えていることが強さの源であると認識しております。
本県での開催を通じて、未来を担う子供たちをはじめ、日本全体に技能の大切さ、障害者の活躍への理解、共感を広めていく大会となるよう、地元としてもしっかりと盛り上げてまいります。
36: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。
水谷満信議員。
〔五十七番水谷満信君登壇〕(拍手)
37: ◯五十七番(水谷満信君) 通告に従い、三点について順次質問をしてまいります。
初めに、定時制・通信制高校についてお伺いいたします。
十一月七日と八日の二日間にわたり、人づくり・福祉対策特別委員会で広島県へ調査へ行ってまいりました。
一日目の調査先は、広島市立広島みらい創生高等学校で、広島県と広島市が共同で整備をして、二〇一八年に開校し、従来の定時制、通信制の枠組みにとらわれない柔軟性のある課程で学べる学校とのことで、入学生の約七割が中学校時代に不登校を経験した生徒であるということでした。
この高校では四つの特色があり、一つ目に、入学後に選べる学習時間帯で、多くの多部制高校のシステムとは異なり、学習時間帯を入学後に選択ができ、一年次においては時間帯ごとの定員を設けていないため、自分が希望する時間帯に学習を行うことができ、また、入学一年目は選択した時間帯を変更することが可能です。
二つ目に、授業とスクーリングの併修で、入学したコースの授業やスクーリングを受けることが原則ですが、二年次以降であれば、進路希望に応じて、所属するコース以外で行われる科目を学習することができ、これにより、令和四年度前期は三十名の生徒が他コースの科目を学んでいますが、併修するためには学びたい科目の定員に空きがあるなど、一定の条件があります。
三つ目のミライズプログラムでは、広島大学と連携して取り組んでいるソーシャルスキル、いわゆる人と上手に接していくためのコツのことで、人とやり取りをするスキル、考え方のスキル、気持ちをコントロールするスキル、問題解決の方法を考えるスキルという四つのスキルを学ぶことをテーマとしています。
四つ目は、学び直し講座、ステップアップ科目で、入学一年目の希望する生徒を対象に、学び直しの科目、ステップアップ国語、数学、英語の授業を行い、小学校から中学校までの内容を復習し、高校での学習基礎を固めるための科目があります。
また、定時制課程の平日登校コースを卒業するのには、三年以上在籍すること、七十四単位以上を修得すること、特別活動の成果が目標から見て満足と認められることを満たすことが必要となります。
学びの特色として、午前から夜間にかけて幅広い時間帯で学習が可能であり、専門教科、科目が工業、商業、福祉の専門教科、科目を学習することができ、資格取得をすることを目標とすることも可能です。また、多彩な学校設定科目を開講し、学び直しのステップアップ国語、数学、英語をはじめ、大学受験に対応する科目、数学演習、理科基礎演習や、キャリアアップを目的とした科目、実用英語、ビジネスマナー等があります。さらに、四年での卒業が基本ですが、三年でも卒業が可能となっております。
通信制課程の通信教育コースにおいての学びの特色として、自学自習が基本ですが、登校するには履修している科目が行われている曜日であれば参加ができ、ほぼ全ての科目を半期で単位認定され、通信制課程の通信教育コースを卒業するには、三年以上在籍すること、七十四単位以上を修得すること、三十時間以上特別活動へ参加する必要があります。さらに、四年での卒業が基本ですが、三年でも卒業が可能となっております。
次に、二日目の調査先は、広島県立大崎海星高等学校です。瀬戸内海に浮かび、小豆島に次ぐ大きさの離島であり、統廃合危機に立たされていた二〇一四年、高校魅力化プロジェクトをスタートし、全国各地から生徒が集まる高校へとV字回復を達成しました。県立高校でありながら、大崎上島町と地域が共に全面的に支援をして、生徒の皆さんがここでしかできない学びを取り入れています。
特色あるキャリア教育、校内公営塾による進学支援、私営塾との連携、教育寮設置による県外生徒の募集など、魅力化を取り組んでいるとのことで、大崎上島で学び、育ち、グローカルに生きていく人材を育成するために育てたい生徒像として、一つ目に、自律した生活習慣を確立し、学び続ける姿勢を持ち、挑戦できる生徒、二つ目に、人との関わりの中で他者を尊重し、自信を持って自分の意思を表現できる生徒、三つ目に、大崎上島へ誇りを持ちながら、地域や社会に貢献できる生徒を教育の目標と方針としています。
特徴としては、瀬戸内海の匠の島で時代の航界士になろうと題して、大崎海星高校には瀬戸内海の離島というほかにはない自然豊かなフィールドがあり、島ならではの体験、学びができます。教科の学力はもちろんのこと、教科書の中だけでは学べない力を習得し、これからの新しい時代の海を行く時代の航海士を目指し、そのために教員、地域の方々、同窓会、塾、スタッフ、ハウスマスター、コーディネーターなど三十名以上の大人が生徒一人一人の学びをサポートする充実した環境を整えるとともに、大崎上島町が運営する教育寮コンパスでは、ハウスマスターを中心とした大人のサポートも充実され、個性豊かなメンバーとの共同生活を通して、新たな価値観を学ぶことができます。
さらに、地域とのつながりの中で、地域で学ぶ、地域と学ぶ、総合的な探求の時間の大崎上島学があり、島の全てを教材とした課題を発見、解決型の総合的な探求の時間です。三年間の学びを、一年生では、島の伝統文化や地域の大人に触れることを通じ、自分自身を見つけ、自分自身の生き方、在り方を考える羅針盤学、二年生では、島の仕事や人と関わることを通じ、時代に合った技術や知恵の生かし方を知る潮目学、三年生では、それまでの学びを生かし、自分自身でテーマを決め、マイプロジェクトを実施していく航界学と定めて、段階的に学びを深めていきます。時代の変化を正しく理解し、世の中における自分の位置を見定めて、力強く生きていく資質や能力の育成を目指しています。
いずれの学校も、生徒が目標を持って生き生きと楽しそうに学んでいる姿が大変印象に残っています。
本県においても、先日、県教育委員会から中高一貫校の設置や定時制・通信制高校のアップデートプランの案が公表されました。今後、本県においても時代のニーズを踏まえた特色のある学校づくりがさらに進むものと大いに期待しているところでありますが、特に今回の視察を踏まえれば、定時制や通信制高校は、将来の進路を踏まえたキャリア教育を含め、今後の在り方が大変重要であると考えます。
そこでお伺いいたします。
先日公表された定時制・通信制教育アップデートプランにおいては、通信制のサテライト校と小規模の昼間定時制を県内四校の全日制高校の学校内に設置するとありますが、その狙いは何か、また、定時制や通信制高校には様々な事情を抱える生徒が学んでいますが、そういった生徒が将来社会を強く生き抜くための力を育成していく必要があると考えますが、アップデートプランの中でどのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。
次に、認知症についてお伺いいたします。
厚生労働省による二〇一九年の平均寿命と健康寿命では、男性の平均寿命は八十一・四一歳で、健康寿命は七十二・六八歳、女性の平均寿命は八十七・四五歳で、健康寿命は七十五・三八歳となっており、二〇一〇年と比較すると、男性の平均寿命はプラス一・八六歳、健康寿命はプラス二・二六歳、女性では平均寿命がプラス一・一五歳で、健康寿命はプラス一・七六歳と示され、平均寿命の延びより健康寿命の延びのほうが大きくなっています。
二〇一九年に策定された健康寿命延伸プランは、健康寿命の目標とその目標を達成するための施策について定めたもので、二〇四〇年までに健康寿命を男女ともに二〇一六年に比べて三年以上延伸し、七十五歳以上とすることを目標としています。
このプランを達成するため、健康無関心層も含めた予防、健康づくりの推進と、地域、保険者間の格差の解消に向け、自然に健康になれる環境づくりや行動変容を促す仕掛けなど、新たな手法も活用し、「次世代を含めた全ての人の健やかな生活習慣形成」「疾病予防・重症化予防」「介護予防・フレイル対策、認知症予防」の三つの分野を中心に取組を推進することとしています。
一方で、愛知県における認知症高齢者の数は、二〇一五年で約二十七万七千人と推計されており、二〇四〇年には最大で約五十四万六千人に増加すると見込まれています。
このため、本県では、二〇一七年九月に、地域で暮らし、学び、働く人々が認知症に理解の深いまちづくりに自分事として取り組む社会の実現を基本理念とした、あいちオレンジタウン構想を策定し、あいちオレンジタウン構想第一期アクションプランに基づき、地域づくりと研究開発の両面から認知症施策の取組を進め、あいちオレンジタウン構想を推進し、認知症施策の取組をさらに充実、強化するため、二〇二一年度から二〇二三年度までの三年間を計画期間とする、あいちオレンジタウン構想第二期アクションプランを策定され取組が行われています。
ここで、私の事務所に先日訪れた株式会社KGピープルケアの後藤さんからのお話をお聞きする機会がありましたので、御紹介をさせていただきます。
この会社は今年の一月から設立され、子供向けの英語教室と、高齢者のための健康寿命を延ばし、笑顔あふれる老後を送るための介護・認知症予防教室を開校しました。認知症や要介護の予防に重点を置いたカリキュラム、ボディーケア、体操、機能訓練などや無料送迎サービスの利用が可能で、百二十分で二千四百八十円の利用料金が設定されており、運営をしております。
しかしながら、利用者の方はいるものの、コロナ感染症の影響も含めて、利用者が増える見込みが厳しい状況にあるとのことでした。
また、一般的に、生活習慣病やがん等の予防や早期発見には関心が高いものの、認知症に対しての予防には関心が低く、早期発見には周りの人のちゅうちょや遠慮、本人の自覚など、難しい課題もあるようです。
そこでお伺いします。
国の認知症施策推進大綱で、予防とは認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにすることとうたわれています。高齢者になっても、住み慣れた地域で暮らし続けていくためには、こうした意味で予防が重要であり、認知症に早期に気づき、重症化する前に適切な支援につなげていくことが求められているところです。
そこで、県では、認知症の予防や早期発見、早期対応に向けてどのような取組をしているのか、お伺いします。
次に、バイオマスについてお伺いします。
本県では、バイオマス活用推進基本法に基づき、広域的なバイオマス活用体制の構築や市町村間での連携促進の観点から、バイオマス利活用の総合かつ効果的な促進を図るため、愛知県バイオマス活用推進計画を策定し、計画期間は二〇一七年度から二〇二六年度の十年間で、必要に応じて見直し、実施することとされました。対象となるバイオマスは、家畜排せつ物、下水汚泥、食品製造残渣、建材工場等残材、稲わら、もみ殻、林地残材とされ、それぞれの活用の状況と課題が挙げられました。
そこで、以前に県外調査に行きました訪問先について紹介いたします。
神戸市のコープこうべでは、二〇〇三年の十二月から、分別生ごみをメタン発酵処理し、発生したメタンガスをエネルギー源とした発電・ボイラー利用を行う食品廃棄物処理施設を稼働し、生ごみの再処理を分別設備で分別し、メタン発酵槽で発酵する過程で発生したバイオガスにより発電とボイラーに利用し、発電した電気は施設内に供給して再利用するとともに、ボイラーから発生する蒸気は食品加工に利用し、資源の有効活用をしていました。また、二〇一三年から太陽光発電を推進し、二〇二〇年一月には、太陽光や木質バイオマス発電による電気で賄う再エネルギー一〇〇%の施設を、八か所稼働しているとのことです。
次に、宮崎県の霧島酒造株式会社は、酒造メーカーとして初めてバイオマス発電に取り組み、芋焼酎の製造過程で発生する焼酎かすや芋くずを有効活用して発電を行い、この特徴的な自社完結循環システムはサツマイモ発電として注目をされました。
焼酎ブームによる事業拡大に伴い、製造時に大量に発生する焼酎かすを二〇〇三年からは廃液処理に取り組み、二〇〇六年には焼酎かすリサイクルプラントを建設してリサイクル事業を開始し、二〇一二年には増設によって国内最大級のプラントとなり、焼酎かすをメタン発酵させることで生成したバイオガスを、焼酎製造ラインのボイラー燃料としても活用するようになりました。
FITの施行を機に、バイオガス利用率一〇〇%を目指す中で、二〇一四年九月から発電・売電事業に参入することとなり、本社工場敷地内に発電設備を設置し、事業開始当初の計画では、九州電力へ年間四百万キロワットアワーの売電を見込んでいましたが、実際には年間七百から七百五十万キロワットアワーの売電に成功し、二〇一九年度には約八百五十万キロワットアワーを発電して、その大半は九州電力に売電しているとのことで、売電を自社が継続していくための手段として捉え、今後、サツマイモ発電で資源循環サイクルを確立し、地域や社会に貢献する資源循環の仕組みとして取り組み、バイオガスの有効活用を段階的に高度化を進め、バイオガス利用率一〇〇%を目標に、新たに挑戦したのがサツマイモ発電事業で、売電による売上も、当初年間一億五千万円程度の想定をしていましたが、それを上回る実績だそうです。
最後に、県内の事例として、半田市の株式会社ビオクラシックス半田の事例を紹介します。
ビオクラシックス半田では、食品廃棄物や生ごみや畜産ふん尿を原料として、微生物による発酵、いわゆるメタン発酵によりメタンガスを発生させ、そのガスを燃焼して、電力や熱などのエネルギーを生み出すバイオガス発電施設を国の補助金などを活用して二〇二一年に完成し、現在本格稼働に向け準備中と聞いております。また、メタン発酵後に出る残渣は、若干の肥料成分を含むことから、農業に利用できるか地域の農家と検討を進めるとともに、災害時に地域の住民への電力供給の機能も備える予定とのことです。このような取組は、地域のバイオマス資源を利用して、持続可能な地域循環型の農業や新しい産業を生み出すことで、地域の活性化を図ることができる、非常によいモデルだと感じております。
そこでお伺いします。
バイオマス事業については様々な可能性を見いだすことができると思われますが、本県はどのようにバイオマス施策を推進していくのか、お伺いいたします。
また、環境面から民間業者が廃棄物をバイオマスとしてリサイクルを推進していくことも重要であると考えますが、県としてバイオマス事業の推進に向けてどのような支援をしているのか、お伺いいたします。
以上で、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
38: ◯教育長(飯田靖君) 定時制・通信制高校に関するお尋ねのうち、初めに、通信制のサテライト校と昼間定時制を全日制高校の学校内に設置する狙いについてお答えをいたします。
今年度、定時制・通信制教育の在り方を検討する会議の中で、定時制、通信制の高校には、不登校を経験した生徒や全日制高校を中退した生徒などが多く通っているという現状があり、自分に合った学び方ができる高校を身近な地域で選択ができるとよいという意見が多数ございました。
そこで、今回のアップデートプランでは、地域バランスを考えながら、通信制のサテライト校と小規模の昼間定時制を全日制高校四校の学校内に設置し、生徒一人一人の状況に応じて、通信制、昼間定時制、全日制の間の行き来を自由にし、それぞれが自分のペースで学ぶことができるようにいたしました。
例えば、中学校で不登校を経験した生徒が、通信制に入学をして勉強をするうちに、毎日学校へ通える自信がついた場合には、通信制から昼間定時制に、さらには全日制に替わることが可能でございます。また、全日制に通う生徒が、もっとゆとりを持って自分のペースで学びたくなった場合には、昼間定時制や通信制に替わることもできます。
このような仕組みを愛知県として初めて導入することで、不登校を経験した生徒などが学びのスタイルを変えながら、自分のペースで学びを継続し、高校卒業を目指せるようにしてまいります。
次に、定時制、通信制に通う生徒たちが将来社会を力強く生きていくために必要な力の育成についてお答えをいたします。
近年、定時制・通信制高校は、中学校で不登校を経験した生徒をはじめとする多様な背景を持った生徒たちの学びの場となっており、かつての働きながら学ぶ青年のための学びの場ではなくなってきております。不登校を経験した生徒などが、自己肯定感を高め、生きる力を身につけていくためには、生徒に寄り添った教育相談による心のケアと学校と社会をつなぐキャリア教育の充実が必須でございます。
そこで、今回のアップデートプランでは、スクールカウンセラーやキャリア教育コーディネーターなどの専門的人材の常駐化を図り、生徒や保護者の不安を取り除くとともに、インターンシップなどの職業体験を通じて社会性を高め、自信を持って社会に出ていけるようにしてまいります。
今後、こうした取組を通して、定時制、通信制で学ぶ生徒一人一人の特性に応じた支援を行い、高校卒業後に社会で力強く生きていくための力を育成してまいります。
39:
◯福祉局長(橋本礼子君) 認知症施策についてお答えいたします。
認知症の発症を遅らせ、また、進行を緩やかにするためには、県民の皆様一人一人に予防についての意識を高めていただくとともに、早期に適切な医療・福祉サービス等につないでいくことが必要でございます。
そこで、高齢者が認知症予防に向けて取り組んでいただけるよう、御自身の認知機能低下のリスクを把握するためのチェックリストの開発を国立長寿医療研究センターと連携して進めているところでございます。
あわせて、かかりつけ医や歯科医師、薬剤師等が認知症やその疑いのある人に早期に気づき、適切に対応していただけるよう、診療や支援に関する知識や技術を習得するための研修を実施し、医療従事者の認知症対応力の向上を図っております。
また、重症化する前の早い段階から必要な支援につなげられるよう、医師を含む専門職で構成される認知症初期集中支援チームが全市町村に計九十七チーム設置されておりますが、県では、このチーム構成員や市町村職員を対象に研修を実施し、その活動の強化を図っております。
さらに、初期の認知症の方や御家族が安心して参加でき、地域住民、専門職との交流の場となる認知症カフェの活動を推進するため、今年度新たに県内三市でモデル事業を実施しており、年度内に開催予定の認知症カフェサミットにおいてその成果を広く紹介してまいります。
こうした取組を通して、認知症の予防や早期発見、早期対応に着実に取り組んでまいります。
40:
◯農業水産局長(
矢野浩二君) バイオマスの利用についてのお尋ねのうち、本県のバイオマス施策の推進についてお答えをします。
本県では、国のバイオマス活用推進基本法を受け、二〇一七年三月に策定しました愛知県バイオマス活用推進計画に基づき、家畜排せつ物や稲わらなどの農業由来のバイオマスのほか、県内の広範囲に存在しておりますバイオマス資源の有効活用を図ってまいりました。現在では、大半のバイオマスが全国平均を上回る高い利用率となっております。
このうち、発生量の最も多い家畜排せつ物は、主に農地の土壌改良のために用いられておりますが、ウクライナ情勢などの影響を受けて肥料価格が高騰していることから、これまで以上に稲作農家と畜産農家の連携を強化するなど、肥料としての利用を推進してまいります。
また、本県は、農林水産業と商工業がバランスよく発展しており、そこから発生する豊富なバイオマス資源を生かしたバイオガス発電施設の整備なども、国の交付金を活用して支援をしております。
県といたしましては、情勢の変化に応じて計画を見直すなど、バイオマス資源の効果的な利用を推進するとともに、国の交付金などを活用し、市町村や民間事業者等が進める地域のバイオマス利活用の積極的な取組を支援してまいります。
41: ◯環境局長(水野達也君) バイオマスの利用推進に向けた民間事業者に対する支援についてお答えします。
環境局では、バイオマスが資源として有効活用されるよう、先導的、効果的な循環ビジネスに対する様々な支援を行っております。
具体的には、産学行政の連携拠点として、二〇〇六年度に県庁内に設置したあいち資源循環推進センターにおいて、バイオマスのリサイクルに取り組む企業への技術的なアドバイスや、国、県の各種支援制度の紹介などを継続して行っております。
また、同じ二〇〇六年度には、産業廃棄物税を活用した本県独自の補助金制度を創設し、リサイクル関係設備の整備や循環ビジネスの事業化を検討する企業等に対し経費の一部を補助しております。バイオマス関連では、今年度までに、リサイクル設備の整備で四十六件、事業化検討で七十件の支援を行ってまいりました。
今年度は、クラフトビールの製造工程で廃棄される麦芽かすから、豚や牛の飼料を製造する設備と、木くずや剪定した枝、刈り草をまとめて均一に破砕し、バイオマス燃料や堆肥を製造する設備の二件に対して支援を行っており、いずれも来年度から運転開始される予定です。
また、食品廃棄物を餌として昆虫の幼虫を肥育し、それを原料にして高タンパク質の飼料を製造する事業など、二件の事業化検討案件について支援しております。
さらに、リサイクル業者や製造業者等の事業者連携によるサーキュラーエコノミーを推進するため、食品廃棄物や木質バイオマスを利活用するモデル事業の具体化に向けて、現在プロジェクトチームの立ち上げ準備を進めているところでございます。
今後は、これまで進めてきたバイオマスの飼料化、堆肥化、エネルギー利用はもとより、プラスチックの代替となる原料の製造、利用など、一段高いレベルの取組も図られるよう、民間事業者との連携を強化するとともに、バイオマスの利活用に意欲を持つ企業等に対して引き続き支援を行ってまいります。
42: ◯知事(
大村秀章君) 水谷満信議員の質問のうち、認知症施策の推進について、私からもお答えをいたします。
認知症高齢者の大幅な増加が見込まれる中、本県では、二〇一七年九月に策定をした、あいちオレンジタウン構想に基づいて、認知症施策の推進に全力で取り組んでまいりました。
とりわけ、構想推進の中核的役割を担う国立長寿医療研究センターの機能強化を図るため、新たな診療棟の整備に対し、昨年度までの三年間で十億円の財政支援を行ったところでございます。総事業費で五十億円ということでありましたかね。ということでございます。
そして、今年五月には新棟は開院をいたしまして、ここで得られる最先端の研究成果が国内外に広く発信され、認知症医療の進展や産学官連携による共同研究のさらなる推進等につながっていくものと期待をいたしております。
また、二〇二一年度からは、国立長寿医療研究センター等が持つ研究シーズとスタートアップ等の連携による新たなビジネスモデルの創出を促進するための調査事業を開始し、イノベーションによる高齢社会の課題解決を目指しております。
今後とも、国立長寿医療研究センターとの連携の強化や新たなビジネスモデルの創出、活用を通じて、認知症の方や御家族が安心して暮らすことのできる社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
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43: ◯四十番(南部文宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
44: ◯議長(須崎かん君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
45: ◯議長(須崎かん君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時四十四分休憩
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午後三時三十分開議
46: ◯副議長(
佐藤一志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
寺西むつみ議員。
〔四十八番寺西むつみ君登壇〕(拍手)
47: ◯四十八番(寺西むつみ君) 通告に従いまして、ポストコロナ社会の県政振興について、命と文化の二つの視点からそれぞれ質問をいたします。
まず初めに、命についての視点から、重症外傷センター指定制度の創設について質問をいたします。
PTDという医療用語があります。これは、プリベンタブル、トラウマ、デスのそれぞれP、T、Dの頭文字を取った医療用語であり、救命できたはずの外傷死、防ぎ得た外傷死などと訳されています。交通事故や災害、銃や刃物が使用された事件により、頭部や胸部、腹部などから大量出血するような大けがを負ったとき、速やかにその治療を担い、重症患者の命を救う、PTDの可能性を最小化させるのが重症外傷センターであります。
今年七月、我が国における外傷治療の先進モデルと言われる横浜市外傷システムの整備の過程及び効果を把握し、愛知県における外傷治療体制の一層の整備促進を図ることを目的として、名古屋掖済会病院副院長の北川喜己救命救急センター長と共に横浜市立大学附属市民総合医療センターを視察いたしました。横浜市立大学附属市民総合医療センターの医師、竹内一郎高度救命救急センター長をはじめ、横浜市医療局医療政策部医療政策課救急・災害医療担当課長らが同席し、センター設置の成果と課題などについて、センター内のMR検査室やオペ室、バックヤードに至るまで、救急搬送されてきた重症患者のルートに沿って様々な現場の状況説明を受けました。
竹内一郎センター長らによれば、我が国において外傷センターの必要性が大きく認識されるようになったきっかけは、およそ二十年前、厚生労働省研究班がまとめた二〇〇一年度の報告書にあった、外傷死の約四割が病院前、病院収容後の諸問題がなければ避け得た可能性が高い死、PTDだったとの内容に端を発するとのこと。
こうした中、横浜市が行った実態調査では、二〇〇九年から二〇一〇年の二年間に起きた市内での交通事故で、五割以上の生存率と予測されていたにもかかわらず病院搬送後に亡くなった五十一名を検証した結果、およそ一割に当たる九・八%の方がPTDに該当していました。
横浜市は、外傷に対応できる外科医師と重症外傷症例の集約化が重要な課題であるとの提言を二〇一三年三月にまとめるに至りました。
二〇一五年四月、神奈川県横浜市は、横浜市立大学附属市民総合医療センターと済生会横浜市東部病院を横浜市重症外傷センターとして指定。医療機関自らが重症外傷センターを標榜するのではなく、自治体が独自に基準を設け、制度として指定するケースは我が国では初めての試みとして注目を集めました。
横浜市外傷システムにおける基準では、重症外傷センターには、外傷診療、手術に対応できる医師が二十四時間体制で病院内に常駐し、通常、搬送されて病院に到着してから手術開始までに要する準備時間は、
救急現場の医師の経験から二時間から三時間程度かかる場合もあると言われておりますが、これに対して、同システムでは、手術を決断してから三十分以内に緊急手術を始めることができると言われています。同時に、救急隊は、重症外傷により大量出血している患者を搬送する場合、近くに救命救急センターがあったとしても、まず重症外傷センターへ運ぶことを基本動作とすることとされています。
こうして、横浜市は重症外傷センター設置後、二〇一五年から二〇一六年の二年間に特に交通事故で亡くなられた五十九名について検証したところ、PTDは一・七%と、センター設置前の五分の一以下に激減していたとの結果でした。
とはいえ、課題はほかにもあります。竹内一郎高度救命救急センター長からは、近年、外科医も腹腔鏡やロボット支援などによる手術が増えており、開腹手術をしたことがないという外科医も増えているのだと伺い大変驚きました。さらに、現在の同センターにおける医師は三人体制、ようやく一人増えてこの状態なのだと言っておられました。さらには、来年度から始まる医療現場における働き方改革の中で、今まで美徳とされてきた医師の頑張りが、これからは法律違反となってしまうということになると、今後は医師の確保がより一層困難となり、救命救急センターの看板を掲げている全国幾つかの医療機関が、その看板を下ろさざるを得なくなるのかもしれない。重症患者の搬送先をできる限り集約化することを進めないと、外傷外科医のスキルの維持すらも難しくなるのではないかと大変危惧をしておられました。
ちなみに、都道府県が指定する救命救急センターは、一九七七年に始まり、二〇二二年七月一日現在では、全国に高度救命救急センターを含め三百施設あり、国の救急医療対策事業実施要綱では、原則として、重症及び複数の診療領域にわたる全ての重篤な救急患者を二十四時間体制で受け入れるものとされてはいるものの、重症外傷に対する専門医師は必要に応じて確保するものとされており、つまり、重症外傷に対する専門医がいなくても救命救急センターを名のることが可能であると捉えることもできます。
一方で、名古屋掖済会病院副院長の北川喜己救命救急センター長によれば、愛知県は多くの救命救急センターが設置されており、救急搬送困難事例も少なく、総務省消防庁が実施した調査では、その割合は〇・七%であり、全国平均の二・八%を大きく下回っているとのこと。また、総務省消防庁が実施しているウツタイン様式に基づく心肺停止疾病者の一か月後の社会復帰率は、十年平均で全国第二位、三二・三%となっており、こうした状況は本県の救急医療体制のポテンシャルの高さとすばらしさを示すものであると称賛しています。裏返して言えば、多くの県民は本県の救命救急体制の現状に対して強い不満を感じているわけではないのではないかとか、近くにある救命救急センターを通り越して離れた医療機関、重症外傷センターへ搬送することに対して県民の理解を得られるのかなどといった懸念の声もあるとのこと。
さて、本県では、大村知事のリーダーシップの下、重症外傷センター指定制度の創設に向け、来年一月から試行運用を開始すると伺っております。県レベルでの対応は極めて画期的なことであり、大いに評価するところでありますが、名古屋掖済会病院と愛知医科大学の二病院を試行病院とし、名古屋地域や尾張地域の限られたエリアでの試行運用になると聞いております。
ここで私が御提案申し上げたいのは、救えるはずの命を見逃さない極めて重要な取組である重症外傷センター指定制度は、尾張・名古屋地域だけで先行して試行運用するのではなく、三河地域も含めた県内全域におけるオール愛知で一斉にかつスピード感を持って運用されるべきものではないかという視点であります。
現在、本県が試行運用に向けて定めている基準は極めて高いハードルを設けているため、現状その基準を満たしている病院がさきの二つの病院しかないことも承知しておりますが、県内でおよそ六千七百名から九千名の重症者の発生が予測されている南海トラフ地震への対応はもとより、今後様々な国際会議や第二十回アジア競技大会や第五回アジアパラ競技大会をはじめとする国際的なスポーツイベントなど、多くの人々が国内外から来県し得る事業がめじろ押しとなることなどを鑑みても、重症外傷センターの早期指定と重症外傷治療体制の全県レベルでの充実は待ったなしの状況であるのではないでしょうか。
そこで質問をいたします。
本県初の試みとなる重症外傷センター指定制度の本格運用に向けて、今後どのように取組を進めていくのか、本県の見解をお伺いいたします。
次に、文化についての視点から、国際芸術祭あいち二〇二二について質問をいたします。
本県が誇る芸術文化の殿堂にして国内有数の大規模複合芸術施設である愛知芸術文化センターは、今年開館三十周年の歴史の節目を迎えました。その愛知県芸術劇場大ホールにおいて、去る十一月二十七日に挙行された愛知県政百五十周年記念式典。会場に流れた本県百五十年の歴史をまとめた記念映像では、愛・地球博開催五周年を記念して二〇一〇年に開催された第一回あいちトリエンナーレ、現代アート作家、草間彌生氏の代表作、ショッキングピンクの水玉オブジェが名古屋の都心部を彩ったシーンが取り上げられており、その光景は大変懐かしく、新しい文化芸術イベントに果敢にチャレンジをした当時の県庁担当職員をはじめとする関係者のモチベーションの高さと意気込みを思い出させてくれるものでした。
二〇一〇年、国際的な発信力のある芸術祭を開催することを大きな目標に掲げてスタートしたあいちトリエンナーレは、以来三年ごとに進化を遂げながら、通算五回目の開催となる今夏、装いを新たに、国際芸術祭あいち二〇二二として七月三十日に開幕し、十月十日までの七十三日間で四十八万人を超える方々に御来場いただきました。SNSなどによる情報アクセスが当たり前となりつつある時代にあって、現地への来場者数のみでこうした事業を評価することはいささか時代に遅れている感もありますが、過去最大の来場者は二〇一九年開催の六十七万人、今年は世界中が長引くコロナ禍にあったことを考慮すれば、四十八万人は成功と言えるには十分な集客力であったと考えられるのではないでしょうか。
さて、国際芸術祭あいち二〇二二では、前回までの様々な課題と困難を乗り越え、運営体制を一新し、会長には株式会社大林組の大林剛郎会長が、芸術監督には森美術館の片岡真実館長がそれぞれ就任し、開催に向けスタートを切りました。
既に御案内のとおり、あいち二〇二二は、スティル・アライブのテーマの下、三十二の国と地域から百組のアーティストが参加し、生きることの根源的な意味などを問う作品が展示されました。特に今回は、愛知芸術文化センターのほか、一宮市、常滑市、有松地区と広域的に展開し、地域の歴史や文化などに呼応した百五十年の歴史を重ね進化を続ける愛知ならではの作品も多く展示されました。
こうして生まれた現代芸術が地域の暮らしやまちの日常を彩る光景は、あたかもまち全体が舞台となったインスタレーションとも思えるような創造空間となり、今回の国際芸術祭の開催目的の一つであった文化芸術活動の活発化により地域の魅力の向上を図ることにつながり、国際芸術祭あいちの新たな可能性を示し得たのではないかと考えられます。
また、大林会長、片岡芸術監督には、二〇二〇年秋の就任以来、県議会においても、現代アートとは何かをはじめ、これまでのあいちトリエンナーレとこれからの国際芸術祭についてなど、同時に今回の展示の狙いとその内容などについても一つ一つ丁寧に説明をしていただき、意見交換や意識の共有に努めていただきました。
何よりも、国際芸術祭あいちを名のる初回であったにもかかわらず、新型コロナウイルスの影響で海外からの渡航が制限されるなど、様々な制約が伴った中での開催を、英知を結集し、創意と工夫により、今後の進化にさらなる期待が持てる国際芸術祭としてまとめ上げていただいたのではないかと考えております。
次回開催は三年後の二〇二五年。愛・地球博開催から二十周年の節目の年に当たると同時に、新しい愛知県体育館が開館し、翌二〇二六年に開催を目指す第二十回アジア競技大会、第五回アジアパラ競技大会へ向かって、国内外からの注目がますます高まることが期待される本県にとってさらなる飛躍の年に当たります。次回、二〇二五年の開催が本県への観光目的の目玉となることも大いに期待したいところであります。
ここで私から御提案を申し上げたいのは、今回の国際芸術祭ではコロナ禍のために存分に力を発揮し切れなかったであろう大林剛郎氏の豊富で強固な海外ネットワーク、人的ネットワークを次回開催に向け忌憚なく発揮していただくための明確なストーリーを本県が描くことであります。
とりわけ、大林氏は、フランス・パリにあるジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センターの日本友の会代表をはじめ、イギリス・ロンドンのテート・モダン美術館やアメリカ・ニューヨーク近代美術館、通称MoMAのインターナショナル・カウンシル・メンバーを務めておられ、海外における文化芸術界の人脈の豊富さは日本人の中においても群を抜いていらっしゃると聞いております。
引き続き、大林氏には、組織委員会の会長としてその役割を着実に果たしていただくことはもとより、三十周年を迎えた愛知芸術文化センターをはじめとする本県の施設や資源をより積極的に活用し、キュレーターなど海外人材との人事交流やさきの美術館などとの施設姉妹提携、将来的にはそうした提携施設との国際合同企画展の開催など、本県の文化芸術におけるグローバル化のかけ橋となっていただき、様々な場面での交流を創造し、活性化し、本県のより豊かな暮らしと発展に結びつけていくためにも、積極的な御助言とナレッジシェアリングを期待するところであります。
そこで質問をいたします。
国際芸術祭あいち二〇二二の成果をどのように受け止めているのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、お考えをお伺いいたします。
以上、大村知事をはじめ、理事者各位からの未来明るい御答弁に期待をし、県政の壇上からの質問を終わります。(拍手)
48:
◯保健医療局長(吉田宏君) 重症外傷センター指定制度の今後の進め方についてお答えいたします。
重症外傷センター指定制度は、あらかじめ県が指定した病院に患者を集約化することで、本県の外傷治療レベルの向上を図り、患者の予後の改善と救命率の向上につなげることを目的としております。
まずは、外傷専門医の確保や二十四時間体制による外傷患者の受入れなど、救急医療の関係者間で合意した機能の基準を全て満たしている名古屋掖済会病院と愛知医科大学病院の二病院で来年一月から試行運用を開始いたします。試行運用では、救急医療に携わる病院や消防機関の御協力の下、試行病院への患者の搬送状況や救命率等の治療実績について、効果検証を行ってまいります。
今後の本格運用に向けてしっかりと検証を行い、重症外傷センターが提供する医療の質を確保してまいります。
49:
◯県民文化局長(伊藤正樹君) 国際芸術祭あいち二〇二二の成果と今後の取組についてお答えをいたします。
あいち二〇二二では、スティル・アライブのテーマの下、地域再発見の観点から、伝統工芸、先住民の芸術表現などを現代芸術の文脈から再考することを掲げ、会場についてもそうした地域の歴史や文化が感じられる場所が選定をされました。このため、地域の地場産業や伝統工芸にちなんだ作品が多く出展され、会場の町並みと調和して、愛知の文化や伝統を掘り下げる展示となり、多くの方々から愛知の魅力を再発見できたとの声をいただいております。
また、ヨーロッパ、アジア、アフリカなど世界三十二の国と地域からバランスよく百組のアーティストが参加をし、世界最先端の現代芸術を紹介するだけではなく、今を生きるというテーマに呼応した、人種やジェンダーなど様々なモチーフに基づいた作品の展示を通じて、世界の多様性を感じていただける貴重な機会を提供することができました。
愛知の国際芸術祭は、最先端の現代芸術を発信する、いわゆる都市型の芸術祭と、地域の魅力を紹介する地方の芸術祭の両面を併せ持つことのできる数少ない芸術祭であります。今後も、参加アーティストの自主性、創造性を最大限尊重しながら、地域の特色を生かしつつ、国際色豊かな芸術祭を開催していきたいと考えております。
50: ◯知事(
大村秀章君) 寺西むつみ議員の質問にお答えをいたします。
その前に、今日は、先ほど、本会議の午後休憩の間に、記者クラブに参りまして、愛知県医療逼迫防止緊急アピールを実施するということを発表させていただきました。
これは、本日も新型コロナ感染症陽性者数、今日の発表、昨日の分でありますけれども、九千四百七十八人ということで、一週間前より二百三十七人増えております。昨日も一万百五十人で、三百人弱増えていて、先週がピークかと思っておりましたが、ほぼ横ばいですが、今週も下がっていかないということもあり、そして、今日、入院患者さんがコロナ病床で千百人となりまして、国のいわゆる指標でレベル三というのは千六十四人なので、そこもちょっと超えたということもありまして、愛知県医療逼迫防止緊急アピールというのを出させていただきました。
これは、国、内閣官房ともよく相談をいたしましたが、彼らは、病床使用率が五〇%を超えることと、あと発熱外来の逼迫状況はどうか、これは七月、八月の第七波のときの半分ぐらいであります、今現在は。なので、そういう意味ではまだ落ち着いているということ、それから、救急搬送困難事案が、八月のお盆前が一週間二百七十三件あったのが、先週百一件、その前五十五件で、そこも夏ほどではないということ、それから医療機関の医療従事者の欠勤状況も大体夏の八月の三分の一ぐらいということでありましたので、国のほうは、いきなり国の宣言ではなくて、まず県の独自宣言をやってから、それで様子を見て、切り札という形で位置づけてほしいということでありましたので、国の医療逼迫防止宣言をやりたいと言っていた北海道、宮城、長野も結局県の独自宣言ということを今やっておりますので、私どもも人口十万人当たりでは感染者数は二十番目なんです。二十番目で真っ先切って国の宣言というわけにはちょっとまいりませんので、ただ一方で、これだけ増えてきましたので、年末年始を控えて、愛知県医療ひっ迫防止緊急アピールというのを、明日対策本部会議があって、正式に明日から一月十五日まで年末年始を挟んで発出したいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
内容は、やはり感染防止体制の徹底をお願いするものでございますので、よろしくお願いいたします。
そして、答弁申し上げます。
まず、一点目、重症外傷センター指定制度の今後の進め方についてであります。
重症外傷センター指定制度は、本県の交通事故等による重症外傷患者の救命率の向上に資する大変有用な取組であると考えます。都道府県単位での指定制度創設は全国で初の試みでありまして、まずは二病院での試行的な運用というふうになりますが、本格運用に当たりましては、ドクターヘリの活用や三河地域に対応できる重症外傷センターの指定を目指すなど、県内全域で重症外傷患者に対応できる体制を構築できるように努めてまいります。
なお、これ、救急車、救急搬送関係の皆さんが近くのところでもそちらに行くということで、そこを判断していただかなきゃいけませんので、特に名古屋市の救急関係、消防本部の皆さんに大変御苦労をおかけしますが、何とぞよろしくお願いをしたいというふうに思っております。
来年一月からの試行運用で効果をしっかりと検証し、県民の皆様に安心と安全を与えることができるように、重症外傷センター指定制度の創設にしっかりと取り組んでまいります。
そして、続きまして、もう一点、国際芸術祭についても御質問をいただきました。
国際芸術祭あいち二〇二二では、コロナ禍における開催でありましたが、四十八万七千人という多くの方にお越しいただき、今年多分最大の集客だったと思います。多くの方に各会場に満遍なく足を運んでいただきました。大林会長、片岡芸術監督の御尽力で、来場者の皆様には国際色豊かで世界最先端の現代アートに触れていただき、それぞれの地域の魅力を十分楽しんでいただく機会になったと考えております。
私自身、全ての会場を何度も複数回訪れましたが、スティル・アライブのテーマ、コンセプトを踏まえた力強い作品や、愛知ならではのすばらしい作品の数々を通じまして、感情を揺さぶられ、新たな気づきを得ることができたのではないかと思っております。
国際芸術祭は、愛・地球博のレガシーを継承するものとして、二〇一〇年から三年ごとに開催してきました。三年後の二〇二五年は、愛・地球博からちょうど二十年目の節目の年になりますので、次回の開催に向けましては、これまで以上にグローバルな展開を意識して取り組んでいきたいと思います。
そのためには、議員もお触れになりましたが、世界的なネットワークを持つ大林会長に引き続き会長の職を担っていただいて、大林会長と連携、協力しながら、世界への情報発信を強化し、国際的に評価される芸術祭を開催してまいりたいと考えております。
51: ◯副議長(
佐藤一志君) 以上で質問を終結いたします。
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52: ◯四十一番(山田たかお君) ただいま議題となっております議案は、審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
53: ◯副議長(
佐藤一志君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
54: ◯副議長(
佐藤一志君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案は、それぞれの所管の常任委員会に付託することと決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
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日程第二 決算第一号令和三年度愛知県一般会計歳入歳
出決算から決算第十二号令和三年度愛知県県
営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算まで
55: ◯副議長(
佐藤一志君) 次に、決算第一号令和三年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十二号令和三年度愛知県県営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算までを一括議題といたします。
本件については、一般会計・特別会計決算特別委員会において閉会中継続審査をされておりますので、委員長の報告を求めます。
一般会計・特別会計決算特別委員長中野治美議員。
56: ◯八十六番(中野治美君) 一般会計・特別会計決算特別委員会に付託されましたのは、決算第一号令和三年度愛知県一般会計歳入歳出決算外十一件の決算であります。
各決算につきましては、十月十九日、二十四日、二十五日、十一月十一日及び十七日の五日間にわたって慎重に審査を行い、採決の結果、決算第一号から決算第十二号までは、いずれも全員一致をもって認定すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。
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57: ◯四十番(南部文宏君) 一般会計・特別会計決算特別委員長の報告のとおり、決算第一号から決算第十二号までの十二件の決算は認定されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
58: ◯副議長(
佐藤一志君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
59: ◯副議長(
佐藤一志君) 御異議なしと認めます。よって、決算第一号から決算第十二号までの十二件の決算は認定されました。
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日程第三 決算第十三号令和三年度愛知県県立病院事業
会計決算から決算第十七号令和三年度愛知県
流域下水道事業会計決算まで
60: ◯副議長(
佐藤一志君) 次に、決算第十三号令和三年度愛知県県立病院事業会計決算から決算第十七号令和三年度愛知県流域下水道事業会計決算までを一括議題といたします。
本件については、公営企業会計決算特別委員会において閉会中継続審査されておりますので、委員長の報告を求めます。
公営企業会計決算特別委員長高木ひろし議員。
61: ◯九十二番(高木ひろし君) 公営企業会計決算特別委員会に付託されましたのは、決算第十三号令和三年度愛知県県立病院事業会計決算外四件の決算であります。
各決算につきましては、十月十七日及び十八日の二日間にわたって慎重に審査を行い、採決の結果、決算第十三号から決算第十七号までの五件の決算については、いずれも全員一致をもって認定すべきものと決し、決算第十四号から決算第十七号までの四件の剰余金処分計算書案は、いずれも全員一致をもって原案を可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。
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62: ◯四十一番(山田たかお君) 公営企業会計決算特別委員長の報告のとおり、決算第十三号から決算第十七号までの五件の決算は認定され、決算第十四号から決算第十七号までの四件の剰余金処分計算書案は原案のとおり可決されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
63: ◯副議長(
佐藤一志君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
64: ◯副議長(
佐藤一志君) 御異議なしと認めます。よって、決算第十三号から決算第十七号までの五件の決算は認定され、決算第十四号から決算第十七号までの四件の剰余金処分計算書案は原案のとおり可決されました。
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日程第四 請願(五件)
65: ◯副議長(
佐藤一志君) 次に、請願を議題といたします。
本議会に提出されました請願五件については、お手元に配付してあります請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
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66: ◯四十番(南部文宏君) 本日はこれをもって散会し、明十二月八日から十二月十九日までは委員会開会等のため休会とし、十二月二十日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
67: ◯副議長(
佐藤一志君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
68: ◯副議長(
佐藤一志君) 御異議なしと認めます。
明十二月八日から十二月十九日までは委員会開会等のため休会とし、十二月二十日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時二分散会
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